ポピュリスト政治家とは一線を画す存在感

ロシアは典型的な「資源の呪い」に取りつかれた経済だ。圧倒的な資源国であるために商品市況の価格次第で景気は乱高下するし、資源以外の産業が育ちにくい。それに欧米との対立関係も歴史的に根深く、経済成長と同様に安全保障にも気を配らなければならない。ロシアは数奇な運命を抱えている特異な国と言えよう。

こうしたロシアの宿命を考えれば、本来どのような指導者が生まれても「予備基金」の再建は回避しがたい。ただそれを本当に断行できる政治指導者はそう多くないだろう。有力な新興国の指導者は事実上の独裁者であることが多く、プーチン大統領もそうしたイメージに重なる。ただその多くがバラマキ政策に頼りがちであることも事実だ。

このように考えてみると、世論調査を試みる際にいささかほころびが見えたとはいえ、プーチン大統領の財政再建を、ひいては経済再建を優先するスタンスは、指導者として責任がある態度と言えるのではないだろうか。バラマキ政策に走ろうとするポピュリスト政治家が各国で雨後のたけのこのように生まれる一方で、プーチン大統領の存在感は異彩を放つ。

翻って日本はどうか。国難に直面した際に、民意にあらがっても大局的な観点から必要な政策を断行できる政治家は生まれるだろうか。先の参議院選挙の結果などを見ると、筆者は悲観的にならざるを得ない。

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