プーチン大統領の支持率は過去最低水準
報道によると、ロシアの首都モスクワでは7月27日、9月8日に実施される市長選をめぐるデモを実施しようとした野党勢力とその支持者約1400人が、治安当局に拘束されたとのことである。ここ数年で最大規模の拘束者数とされ、プーチン政権が反対勢力を力ずくで抑え込もうと躍起になっている現状が浮き彫りになった。
また8月10日にもモスクワ市長選で公正な選挙が実施されることを求める大規模なデモが行われ、約5万人が参加したようだ。参加者100名以上が身柄を拘束されたとのことである。当局が公認したデモとしてはプーチン大統領が2018年5月に首相から大統領に転じて以降、最大規模のものになった。
2018年5月に再就任したプーチン大統領の任期は24年5月までの6年間。憲法改正がないかぎり、多選規定によって最後の任期となる。これまで国民に圧倒的な支持を受けてきたプーチン大統領も再就任以降は支持率が低迷しており、いずれの有力な世論調査でも30%程度と過去最低水準で推移している。
危機感を強めたプーチン大統領は19年5月、政府系の全ロシア世論調査センターに対し「プーチン大統領を信頼するか否か」という新たな調査項目を設けて集計させ、7割以上から信頼という回答を得た。一種の印象操作を試みたわけであるが、こうしたギミックはロシア側のメディアからも手厳しく批判され、むしろ逆効果だったようだ。
日本はロシアとの間で領土問題(北方領土問題)を抱えている。一時は融和的なムードが広がったものの、最近ではラブロフ外相が強いトーンで日本側をけん制するなど、事態の膠着が続いている。支持率低下が顕著なプーチン政権は対日強硬姿勢を示すことで世論を味方につけようとしているようだ。