キャッシュメモリの設計と同じ考え方

収納場所がいっぱいになったら、右端から捨てます。右端に来たものは使わなかったものなので、不要である確率が高いからです。ただし、長時間使わなくても残しておきたい資料もあるので(そうしたものを「神様ファイル」と呼んでいます)、チェックしてから捨てます。

これは、長時間使っていないものを、自動的に見いだす仕組みです。最初は面倒だから左に置いたのですが、この方法には重要な意味があることが分かりました。

それは、「キャッシュメモリ」の設計との同一性です。キャッシュメモリとは、超高速で読み書きできるコンピュータのメモリであり、容量はあまり大きくないので、優先度が高いデータを入れます。

キャッシュメモリは、キャッシュがいっぱいになってデータを捨てる必要が生じた場合、LRU(Least recently used:最長時間未使用の原理)を用いて、捨てるデータを決定します。LRUを直訳すれば「最近で使われることが最も少ないもの」ということですが、「最後に使われてから最も長い時間が経ったもの」というほうが分かりやすいでしょう。それを捨てるのです。

「超」整理法は、まさにLRUの方法をとっています。というより、ファイルを押し出していくことによって、自動的にLRUを見いだす方法になっています。

デジタル主体でも重要性は変わっていない

また、キャッシュメモリは、新しいデータを入れるときや、使用したデータを戻すとき、MTF(Move-to-front:先頭に送る)法を用いて、リストの先頭に置きます。

「超」整理法においても、使ったファイルは、元の場所に戻すのでなく、いちばん左に戻します。これはMTFそのものです。

なお、『「超」整理法』を書いた時点で、文章を書く作業はすでにPCに移行しており、私自身が作る情報はほとんどデジタル情報になっていました。押し出しファイリングに格納していたのは、主として私に送られてくる情報です。その後、送られてくる情報にデジタル情報が増えてはきましたが、依然として大量の紙情報が送られてきます。したがって、押し出しファイリングの重要性は、いまも変わりません。