「非核化への後押しでなく、妨害だ」

中国や北朝鮮を批判したとき、いつも主張が明確で分かりやすいのは、産経新聞の社説(主張)である。その産経社説(6月22日付)から見ていこう。

見出しは「習氏訪朝 中国は『非核化』」を弄ぶな」である。一瞬、「何のことか?」と思わせる見出しだが、次のくだりを読むとよく分かる。

「(中国メディアによる金正恩氏との会談の模様は)習氏が自ら仲介して停滞を打開し、非核化を後押しするかのような印象だが、果たしてそうか」
「米朝交渉の難航は北朝鮮が『完全な非核化』に向けた具体的行動を取らないことが最大の原因だ。だが習氏は、北朝鮮の非核化に向けた努力を評価し理解を示した。非核化への後押しというより、これでは妨害である」

「非核の後押しでなく、妨害」。産経社説が指摘するように、訪朝した習近平氏の言動は「妨害」そのものである。

重ねて産経社説は「北朝鮮に最も強い影響力を持つ中国首脳として、習氏の役割は非核化への行動を要求することである。ミサイルの発射に警告を与えた様子もない」と指摘する。

習氏は自らが金正恩氏に対し、大きな影響力を持っていることをどう考えているのだろうか。

中国は「責任ある大国」にはなれない

産経社説はさらに書く。

「中国は今、制裁対象ではない肥料などを北朝鮮に届けている。安保理では石油精製品取得の瀬取りを介した上限超過を指摘した米国の報告書に保留措置を取るなど、さまざまな手段で北朝鮮を救っている。これらの行動は北朝鮮の生命線をかろうじて保ち、金正恩体制が不安定なまま存続するのを助けているにすぎない」
「結果として北朝鮮の非核化を遠のかせているのは中国である」

国連制裁を無視するように、中国は北朝鮮を支援して止まない。「結果として……」と言うよりも、習氏は分かっていて支援しているのだ。非核化よりも自らが毛沢東や鄧小平と肩を並べたいのである。

最後に産経社説は主張する。

「20カ国・地域首脳会議(G20サミット)とその際の米中首脳会談で、米側は香港の逃亡犯条例改正問題も提起する構えだ」
「習氏の訪朝は議論の焦点を北朝鮮問題にすり替えたい思惑もあったと指摘される。北朝鮮の非核化は、東アジアの平和と安全にかかわる極めて重要な問題だ。外交カードとすること自体、責任ある大国の振る舞いとはいえない」

その通りなのだが、中国は「責任のある大国」などにはなれない。