全社員のなかで「CEOが一番学んでいる」会社
私がGEにいた当時、30万人の社員の中で最も熱心に学んでいたのはCEOのジェフ・イメルトでした。
イメルトは、各ジャンルの気鋭の学者たちをブレーンにして、最先端の情報を取り入れて経営戦略に生かしていました。週末には本社の執行役員を一人ずつ自宅に招き、夕食をとりながら、現場で起こっていることや将来に向けた課題などについて、じっくりと学びます。
また、彼は週に最低1回はクロトンビルにやってきて、さまざまな研修クラスの参加者たちと1~2時間を過ごしていました。
私が受講者として参加したエグゼクティブ向けの3週間連続のコースには、CEOのみならずCEOの直属である各部門の責任者たちがやってきて、同様に参加者と2時間くらい議論をします。
研修参加者に逆質問するCEO
そのコースでイメルトは、GE全体のビジネスについての現況を、スライドを1枚も使わずに1時間弱話した後に、参加者と質疑応答を行いました。ここまでで約1時間半が経過しています。
普通はこれで終了になっても不思議ではないのですが、驚いたことにその質疑応答の後にイメルトは、「自分は今、このような戦略のアイデアを持っている。それについて君たちの意見を聞きたい」と、逆に参加者に対して質問してきたのです。
参加者は、世界中から選び抜かれた、いわばGEのオリンピック選手たちです。GEのトップであるイメルトは、世界各国の現場を指揮する各部門の参加者たちから学ぼうと、さまざまな意見に対して誠実に耳を傾けていたのです。