「給与より休みを優先する」選択肢をつくった
正社員、短時間正社員、アルバイト。それぞれが働きたい働き方で働けるように、勤務形態に選択肢を設け、柔軟に対応するなかで、いつも気をつけているのは「不公平感」が出てしまわないようにすることです。
基本的には、本人の希望優先でシフトを決めているのですが、完全に自由に任せていると、不公平になってしまうこともあるのです。
たとえば、正社員のなかに2名ほど、家庭の事情のため土日に集中して休みをとることの多い社員がいます。その社員がいる店舗では、どうしてもほかの人が土日の休みをとりにくい。表向きは「大丈夫ですよ」と言ってくれていても、長期間となると、少しずつ「あの人ばかり土日に休んでズルい」という意見が出ないとも限りません。
そこで、休みの希望が誰よりも優先され、土日に休みを固定する代わりに基本給が少し低くなる、という契約を本人承諾のもとに結びました。「給与より休みを優先する」という選択肢を設けることで、ほかの正社員と不公平感があまり出ないようにしたのです。そしてそれを「あけみからのメッセージ」で共有し、お互いの事情を理解できるようにしました。
ほかにも、アンケート形式で「今月はもっと出勤して稼ぎたい」という人と、逆に「扶養控除内で働きたいから今月はもっと出勤を抑えたい」という人とをマッチングして、シフト調整を行なったり、みんなが「どのくらい働きたいか」をオープンにする環境づくりを心がけています。
百貨店と同じ収入で5時間早く帰れる
佰食屋の給与形態は、正社員の場合、基本給に各種手当や賞与などがつく、一般的な企業と同じものです。たとえば、正社員の基本勤務を朝9時半から17時までとすると、朝の出勤を30分前倒しすると+1万円、退勤を30分遅らせると、もう+1万円手当がつきます。これは必須条件ではなく、あくまで本人の意思に任せています。
モデルケースを挙げると、百貨店のレストランで働いていた40代の社員は、それまでの年収とほぼ変わらない水準で収入を得ているにもかかわらず、労働時間はこれまでより1日5時間も短くなったそうです。残業ゼロ、しかも圧倒的に労働時間を削減することができたのに収入はほとんど変わらない、と言うのです。