残業や週末出勤を繰り返して、「自分はがんばっている」と思ってはいないか。ベリタス代表の戸塚隆将氏は「外資系企業では、金曜日は仕事を早く切り上げて帰る人が多い。自分のリソースを効率よくつかって、オン・オフをしっかり切り替えてこそ成果が出せる」という――。

※本稿は、戸塚隆将『1%の違い 世界のエリートが大事にする「基本の先」には何があるのか?』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/blackred)

意識的に仕事を切り上げる

私がかつて働いていたグローバルファームでは、1週間のうち、オフィスから人がいなくなる時間帯がありました。それは金曜日の夜です。連日遅くまで働いている人たちも、金曜日になると仕事を早めに切り上げて帰る人が多いのです。

彼らにとって、金曜日の夜は週末の一部です。その時間にオフィスに残って仕事をしていると、緊急性の高い仕事を除いて、オン・オフの切り替えが苦手なワーカホリックな人に見えかねません。

仕事は、つねに目の前にあるもので、すべてを片付けようとしても無理があり、キリがありません。そのため、意識的に自分の仕事を切り上げて、オフィスを早目に出るようにしないと、気分転換はできないものです。

さて、金曜の夜、グローバルファームで働く人びとは、次のように周りに声をかけてオフィスを出ます。

「Have a great weekend.」
「Enjoy your weekend.」

いずれも「よき週末を」という意味ですが、これらの言い回しからもわかるように、彼らは基本的に休日出勤せず、週末はプライベートをしっかりと楽しむことを前提としています。

「週末仕事漬け」は自慢できない

週明け、月曜日の朝のあいさつはこうです。

「How was your weekend?」

天気や仕事のことより、週末をどう楽しんだのかということを真っ先に聞くのが、彼らの常識です。これが一種の決まり文句になっているのは、当たり前ですが「週末はプライベートの時間」という前提があるからです。

もちろん、仕事の状況によっては、休日もオフィスに出てきたり、自宅で書類仕事を片づけたりしなければならないこともあるでしょう。じつは私もそうでした。

ただ、週末に働いたからといって、月曜日の朝のあいさつで「この週末は仕事漬けだったよ」と答えるのは避けたいもの。「ワークライフバランスを自分でコントロールできていない人」という印象を相手に与えてしまう可能性があるからです。

実際に週末に働いていたとしても、会社のためにプライベートを犠牲にして働いたという意味ではなく、成果を出すために主体的に仕事をしたというポジティブな雰囲気をにじませるべきです。ここが、グローバルに活躍している人の仕事意識の「1%の違い」です。

「○○についていいアイデアが浮かんできたから、忘れないうちに日曜日に提案書をつくったんだ。あとで見てくれるかい?」

これくらいポジティブな姿勢を見せたら、周囲も理解してくれるかもしれません。つまり、「不本意ながら休日出勤して疲れた」という気持ちを出さないことが大事なのです。