むしろキャッシュレス化の後押しになり得る

改札口ごとに「必ず2台以上は置いてある」(八巻氏)という券売機は、移動中に急に現金が必要になったときを考えれば、街中のコンビニや駅構内のATMを探し回ったりするよりも効率がいい。

キャッシュアウトは現金を手にするという意味では「キャッシュレス化」に逆行しているようにも見えるが、実は「いざという時」にスマホさえあれば現金も引き出せるという安心感を与えることができる。むしろ「キャッシュレス社会」を後押しする存在になり得るのかもしれない。

ビジネスとしては提携する金融機関から受託費という形で利益を得るが、同社が目指すのは、現在ある券売機の可能性を広げ、インフラである「駅」という場所をより利用者にとって便利な、開かれた存在にしていくことだという。今後は利用を拡大するため、他の銀行や鉄道会社の参加も呼び掛けていきたいとしている。

加藤 藍子(かとう・あいこ)
ライター・エディター
慶應義塾大学卒業後、全国紙記者、出版社などを経てライター・エディターとして独立。教育、子育て、働き方、ジェンダー、舞台芸術など幅広いテーマで取材している。
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