②銀行の店舗数減少がマイナスに働く

紙幣の変更を受けて、ATM/CDも改修や買い替え等の対応が必要となってこよう。ATM/CDにおける直接波及に関しては、改修で済ませる場合と新規に買い換える場合の2パターンが考えられる。

しかし、ATM/CDの1台当りの値段は単機能なコンビニ向けで平均200万円程度、高機能の銀行向けは500~800万円程度と高価であり、低金利環境にあって収益が低迷している金融機関としては出来るだけコストを抑制するだろう。そこで、今回の試算ではATM/CDの買い替えは3割程度という前提で試算した。

一方、ATM/CDの総数は、金融機関で約13.7万台(出所:平成31年版「金融情報システム白書」(財)金融情報システムセンター)あり、これに2019年2月時点のコンビニ店舗数約5.6万店(出所:日本フランチャイズチェーン協会)にATMが一台あると仮定すると、約19.3万台に上る。このATM/CDの改修費用には幅があるが、今回は、センサーの改造、ソフトの変更、その他事務費等を含め、単価は前回のメーカーからのヒアリング等を勘案し、買い替え金額1割程度(金融機関65万円・コンビニ20万円)を想定した。以上より、ATM/CDの買い替え、改修費用は現環境が変わらないと仮定すれば、約3709億円と計算される(図表2)。

なお、ATMについては前回の新紙幣発行時からコンビニATM数が5倍程度に増加していることから、前回よりも多い更新需要が期待される。しかし一方、金融機関向けATMでは営業店舗数の減少など事業環境が変わることが予想されるため、実際はここまで特需が発生する可能性は低いだろう。

③自販機自体の減少がネック

自動販売機もATM/CDと同様に、買い換えまたは改修を加えなければならないだろう。買い換えの場合、1台あたりの値段は平均50~60万円程度と高価であり、流通業や中小企業等のコスト負担が大きくなる。したがって、こちらもメーカー側の過去の生産能力等を勘案して約3割程度を買い替えで対応するという試算とした。

全国で自動販売機は2017年12月末時点で約427万台設置されている(出所:「自販機普及台数及び年間自販金額」日本自動販売機工業会、図表3)。100円以下の硬貨のみの自動販売機も存在するため、全てを改修する必要はない。ただ、残念なことに紙幣の使える自動販売機の統計はなく、ある程度推測していく他はない。そこでメーカーにヒアリングしたところ、自動販売機に関してはほぼ使用可となっているようだ。ただし、自動サービス機のうち、コインロッカー・パーキングメーター他(約129万台)に関しては、紙幣・500円硬貨の使えるものは比較的少ないとの情報もある。