詰め込み着手は早いほうがいいんです

【和田】いいことです。何か一冊の育児本の信者になってしまうより、はるかに健全です。子どもはひとりひとり違いますから、その一冊の方法が合わないと、親はうちの子はダメなんじゃないかと思ってしまう。

(撮影=市来朋久)

【佐藤】20冊も読むと、だんだんに自分のセオリーみたいなものもできてきますしね。

【和田】勉強ができないのは本人のせいではなく、やり方が悪いんだという方向に、大人が導いていくべきでしょうね。DNAの問題ではなく、技術の問題。幼児期には母親が、わが子に合うやり方をしっかり見つけてやりたいですね。

【佐藤】子どもたちに話していたことのひとつに「勉強ができないと、将来自活できないよ。食べていけないよ」ということがあります。やはり、子どもをしっかりと自活できる社会人に育てるということは、産んだ母親としては当然の仕事だと思うんです。だから、そこは母親の愛情とは別に、ビジネスライクに詰め込みました(笑)。

【和田】詰め込むべきだと思います、私も。それもなるべく早めがいいですね。着手が遅くなると親に焦りが出て、よその子と比較したり、できないことを責めたりしがちですから。佐藤さんのように早めに始めておけば、子どもがやる気になるまでじっくり待っても、まだ時間はあるという余裕が持てます。

【佐藤】本当にそうですね。ありがとうございました。

和田秀樹
精神科医
国際医療福祉大学大学院教授。アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化した「和田秀樹こころと体のクリニック」院長。大学受験生向けの通信指導事業「緑鐡受験指導ゼミナール」代表。I&Cキッズスクール理事長。東京大学医学部卒業。ベストセラーとなった『受験は要領』や『「東大に入る子」は5歳で決まる』ほか著書多数。
佐藤亮子
主婦
長男・次男・三男が灘中・高等学校から東京大学医学部へ。長女も東大理Ⅲに合格して、3男1女全員が東大医学部へ。現在は、テレビ出演や講演活動などに引っ張りだこのカリスマママとして活躍中。『私は6歳までに子どもをこう育てました』『受験は母親が9割』ほか著書多数。
(田中義厚=構成 市来朋久=撮影)
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