駅前立地の象徴だった「渋谷センター街店」の閉鎖
現経営陣は、原点に立ち返り、コストを削減しつつ、リアル店舗の魅力を高めることを重視している。その発想があったからこそ、リアル店舗とネット空間の融合を目指した旗艦店「渋谷センター街店」に関しても、固定費を削減するには閉鎖が不可避との意思決定から、2018年7月に閉店の決断を下した。経営トップが焦点を絞ることができなければ、その判断を下すことは難しかっただろう。
このように考えると、企業が持続的な成長を目指すためには、経営トップが自社の強みが何かをしっかりと理解することが欠かせない。この発想が、戦略上注力すべき部分と、そうでない部分を分けることを可能にする。注力すべき部分がわかれば、他の分野でコストを削減し、より効率的に経営資源を配分することが可能となる。
ブックオフの現経営陣は、その考えに基づき、固定費を削減し、大型店舗の出店戦略を強化し、業績を回復させてきた。店舗運営をベースに成長を目指すためには、店舗運営の効率性を高めつつ、その魅力を高めていくことが不可欠だ。ブックオフがどのように今後の成長戦略を策定し、実行するか、実に興味深い。
真壁 昭夫(まかべ・あきお)
法政大学大学院 教授
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。
法政大学大学院 教授
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。
(写真=時事通信フォト)