経営陣が「好立地への出店重視」にとらわれていた

近年、リユース・ビジネス業界の競争は激化している。ヤフーオークションなどのオークションサイトだけでなく、アマゾンでも中古書籍が広く流通している。加えて、メルカリのように個人と個人が直接に取引を行う(C2C)プラットフォーマーも登場した。これらには、家に居ながらにして買い物ができるという、ブックオフの店舗にはない便利さがある。

競争の激化を受け、ブックオフの経営陣は進むべき方向を見失ってしまったように見える。おそらく「好立地への出店重視」という従来の考えが根強く残っていたのだろう。その結果、売り上げが伸び悩むだけでなく、店舗運営の費用もかさみ、ブックオフは業績を悪化させた。株式市場では、経営判断が環境の変化に追いついていないという不安が増え、株価は低迷した。

業績の低迷を受けて、ブックオフの現経営陣は構造改革に踏み切った。

その目的は、販売管理費の削減にある。ブックオフは固定費を削減し、損益分岐点を引き下げる(利益が出やすい収益体質を整備する)ことを目指した。

駅前から「郊外大型店」に切り替えて、地代を削減

まず同社は「ハグオール」の店頭販売サービス”東京古着”から撤退した。これは、ブックオフにとって売り上げの減少要因となる。同時に、ブックオフはハグオール事業のために運営してきた大型物流倉庫の縮小を断行した。また、ハグオール事業では物流設備の減損処理も実施され、収益基盤が強化された。

そのうえで、店舗の運営戦略を転換し、コストの削減に結びつけた。

2017年に経営者が変わって以降、同社は従来の発想を改めた。具体的には、不採算店舗の閉鎖が進められた。それと同時に、経営陣は、駅前などよりも、郊外に比較的大型の店舗を出すことを重視したのである。

戦略転換の効果は、地代家賃の推移から確認できる。ブックオフの販売管理費の推移をみると、地代家賃が減少している。地代家賃は固定費の代表的な項目だ。ブックオフには店舗の運営戦略を転換することによって固定費を削減し、従来よりも利益を出しやすくする狙いがあった。固定費を引き下げ、利益を手に入れるというのは、実にシンプルな発想だ。