韓国がパネル報告への不服を申し出たことを受け、わが国は国際世論の賛同を得られるよう、あらゆる面から取り組まなければならなかった。政府は、科学的なデータに加え、わが国の水産業にとって輸入禁止措置が死活問題であることを関係者に伝えなければならなかった。

見方を変えれば、韓国は積極的な働きかけで自国の状況を伝え、わが国以上の理解と納得を集めた。わが国にはその発想がなかった。その結果、第一審での判定内容が覆されてしまった。これは、国際機関などでの戦い方を十分に分かっていれば避けられた展開であったように思う。

「味方=親日国」を増やさなければ、自国の主張は通らない

WTO上級委員会が第一審の判定が覆ったことは、重要な教訓だ。わが国が国力を高めるには、国際社会での戦い方をしっかりと理解しなければならない。

国際社会で勝ち残るためのルールとは、抜かりなく根回しを徹底することだ。それが、関係者からの納得と賛同を増やし、「味方=親日国」を増やすことにつながる。味方を増やすことができれば、自国の主張を通しやすくなる。

わたしたちが何か重要な意思決定を下す際、論理的な正しさだけが判断根拠になるわけではないだろう。それよりも、「直感的に納得できるか否か」が、判断に影響を与えることは多い。

WTOをはじめ、国際機関(社会)における利害は多様だ。わが国の主張に疑問を持つ関係者もいる。そうした人を味方につけるためには、正論だけでは不十分だ。科学的に正しい主張、データなどを提示したからといって、過半数の納得と賛同が得られるとは限らない。