会話は永遠と続きそうなのですが、何だかみんなどんよりし始めます。不思議と「NO」と言われ続けていたときの方が、笑いもあり、盛り上がりました。

こうやってウジウジと言われると、いったい反対をしているのか賛成をしているのか、オピニオンリーダーの本心が分からずにイライラとするのです。内面が分からないと人は不安になります。教室を嫌な空気が包んでいったのを今でも覚えています。

私にとっては、この3つのパターンのうち、やはり「YES,BUT」が最も衝撃的でした。

「いいね、でもね」は議論を狭めてしまう

先ほど紹介したように「NO」のときは、当初の予想と違って、ホットドッグやハンバーガーなどパーティの食材のいろいろな「代案」が出てきました。演劇として観ている分には面白かったし、「YES」とはまた違う形でアイデアも出てきました。

一方の「YES,BUT」。一見、オピニオンリーダーが賛成するのですが、「後付け」でいろいろ言われるため、説得する方も意地になって、どうしても「すし」にこだわってしまいます。会話がどんどん、小さく小さく閉じ始め、話が大きく「展開」していかないのです。

賛成した「フリ」をする人とは付き合うな

竹下 隆一郎『内向的な人のための スタンフォード流 ピンポイント人脈術』(ハフポストブックス)

私は今でもビジネスでは「YES,BUT」型の人とは付き合わないようにしています。こちらの言うことを一瞬だけ受け入れてくれるのですが、あとから「留保」をつけてくる。もちろんビジネスにおいては慎重さも必要ですし、多様性が大事な現代では、さまざまな「注意点」を頭に入れておくことが大事でしょう。

しかし、それだったらはじめから「NO」と言ってくれた方がマシです。賛成した「フリ」をされるのが一番困る。日本語だと「うん、でもね」「そうは言っても」「とはいえ」を口にする人のことでしょうか。

スタンフォードのワークショップについては、私の独自の解釈です。もちろん「YES,BUT」を言わざるを得ないときもビジネスの状況によってはありますが、新しいアイデアを話し合うときなどは言わないように気をつけている言葉のひとつです。

竹下 隆一郎(たけした・りゅういちろう)
ハフポスト日本版編集長
1979年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。2002年朝日新聞社入社。経済部記者や新規事業開発を担う「メディアラボ」を経て、2014~2015年スタンフォード大学客員研究員。2016年5月から現職。近著は『内向的な人のためのスタンフォード流ピンポイント人脈術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
(写真=iStock.com)
【関連記事】
「マウンティング」のダサさに早く気づけ
40代の“痛い人”は誰も指摘してくれない
日本が"寛容さ"を失ってしまった根本原因
頭のいい子を育てる"ハグ"の正しいやり方
「子を怒ってばかりの母親」5つの特徴と、結末