「ダイバーシティ」の思想を先取りしていた

これらのことは小嶋が当初から男女・学歴・国籍等にかかわらず採用・登用する人事制度をめざしていたこと、今でいうところのダイバーシティの思想があったから実現したことである。

小嶋は雑誌のインタビューで女性編集長から「経営者としての重責にあるにもかかわらず、結婚していることについて尊敬しています」と言われたことがある。小嶋は笑いながらこう話した。

「戦前は明日死ぬかわからないから結婚しておこうという人がいた。また結婚式の翌日に夫が戦争に行って戦死した人もいるし、私が若いころはそういう刹那的な時代でもあった。今からみると大変に古臭くみえますが、結婚ということについても一つの社会規範のようなものがありました。『有夫の婦』という言葉があり、字のごとく、夫のある女という意味ですが、昭和20年までは、女性がなにか契約をするときは夫の承諾が必要だったのです」

「古い価値観では女性から三下り半を突き付けられる」

一方、昨今については、このようなことも言う。

「離婚も増えています。身近な人の中でも、まさかと思っていた人が、あっさりした態度で長年の夫婦生活を解消されるのを見ます。これも、他人の目よりも、自分の考える幸福を優先できる意識の変化でしょう」

――時代は変わったのだ。小嶋は「日本の男たちはこのような女心の変化を見逃している。本当のところよくわかっていない。男の古い価値観では女性から三下り半を突き付けられる」と警鐘をならす。