現在作られる工作機械のほとんどはNC装置付き

さて、このような特性を持つ工作機械には実に多種多様なものが存在する。工場内では様々な加工用途が生じるために、それに対応して様々な種類の工作機械が必要になるからだ。主要な工作機械として、旋盤(Lathes)、研削盤(Grinding machines)、そしてマシニングセンター(Machining center)などが知られている。表3は、2017年度の日本におけるNC(Numerical Control、数値制御)工作機械の機種別生産割合を表している。一口に工作機械といっても、実に様々な種類の機械が存在することがわかるだろう。

その中で、台数、金額ともに最大の機種はマシニングセンターで、工作機械全体の約4割を占めている。

マシニングセンターとは複数の刃物を自動交換できる装置を持ち、NC装置で読み込まれるプログラムに従って、穴あけや平面削りなど複数の異なる加工を1台で行う工作機械を指す。従来の工作機械が基本的に単一種類の加工を行っていたのに対して、複合加工を自動的に実現する機械であり、NC装置の出現によって誕生した。

次に多い機種はNC旋盤で、全体の約3割を占めていることがわかる。旋盤は円柱状の被切削物を回転させ、バイトと呼ばれる工具で切削加工をする工作機械である。現在の日本では、この二つの機種で全工作機械生産高の約8割程度を占めている。また、現在日本で生産される工作機械のほとんどは、NC装置が付いたNC工作機械である。

NC工作機械産業を主導したファナック

1980年代は、日本の製造業の国際競争力が向上し、それに対する世界的な関心が高まった時期だった。ちょうどその頃、米国の産業競争力の回復を目的として、マサチューセッツ工科大学(MIT)を中心として産業生産性調査委員会が組織された。

その委員会の調査報告書『Made In America』では、日本の強い産業競争力の背景にあるいくつかの要因を挙げているが、NC(Numerical Control、数値制御)工作機械産業についても一定のスペースを割いてその特徴を記述している。

報告書はまず、NC工作機械産業の戦略的重要性について次のように述べている。

NCおよびNC工作機械は、自動車やエレクトロニクス、機械工業などに対して少量・多品種かつジャストインタイムで納入している業者に、フレキシブルなオートメーションをもたらした。

このようなNC装置の設計と製造を主導したのが、ファナックであった。日本の工作機械メーカーの多くは、NC装置の開発をファナックに完全に任せて、自らは工作機械それ自体の革新に注力することができた。つまり日本の場合、ファナックと工作機械メーカーとの間で分業が行われたのである。