「テストステロン」の力

その秘密は、体内にあるホルモン、テストステロンとコルチゾールの働きにあります。

テストステロンは男性ホルモンのひとつで、胎児の頃に男性内生殖器を発達させ、思春期には声変わりのほかいわゆる「第二次性徴」を発現させます。さらに、成長ホルモンとともに筋肉量の増加を促し、その強度を保ち、骨格を大きくします。

そしてもうひとつここで注目してほしいのが、テストステロンの脳や精神状態に対する作用です。大脳に働きかけ「決断力」や「怒り」、さらには「攻撃的な気持ち」つまり「やる気」にも作用するのです。ネガティブな意味では「荒っぽくて無神経」という形で表に出ることもある一方、「前向きでワイルドでセクシー」とポジティブな意味に受け取られることもあります。つまりテストストロンは人生を前向きにし、バイタリティを高めるホルモンであり、「自信のホルモン」ということです。

一方、コルチゾールはステロイドホルモンのひとつで、ストレスにさらされたときに分泌され、体を守る作用があります。しかし過度な分泌が続くと記憶の中枢である「海馬」の神経細胞がダメージを受けることでも知られています。

心に自信と余裕を生み出す即効テクニック

カディ教授の実験によると、「体を大きく見せるポーズ」をとった人はテストステロンの分泌が増え、コルチゾールの分泌が減少したという結果が得られました。つまり、実際には自信がない状態でも「体を大きく見えるポーズ」をとっただけで、心に「自信」が生まれ、それが周囲にも伝わるということです。ここでのポイントは「形」だけ虚勢を張れば自信があるように見える、ということではなく、「形」によって心に変化が起きるということなのです。

たとえば絶対に失敗できないプレゼンのとき、ここ一番のデートの前、絶対に勝ちたい勝負の前。鏡の前で2分ほど「ガッツポーズをとる」「腰に手を当ててしっかりと胸を張る」ことが、心に自信と余裕を生み出してくれるのです。外出先のトイレでもかまいませんから、自信がない、不安がある、というときにはぜひ試してみてください。