「マティーニをたのむ。ステアではなくシェイクで」
別のシーンでは、注文を取りに来た美しいウェイトレスに、ボンド自身がこう言います(第7作「007ゴールドフィンガー」)。
「Just drink. Martinis, shaken and not stirred」
(酒だけでいいよ。マティーニをたのむ。ステアではなくシェイクで)
これを「男の色気」といわずして何を色気といえばよいのでしょうか!
こうしたバーでの振る舞い、さらにはレディーファーストを決して忘れないエスコート、ウィットに富みユーモアのある会話、そして口説き文句のすべてが魅力的に見えるのは、それらが彼の仕事や生き方に対する「自信」に裏打ちされたものだからです。
自分の生き方に自信を持てないまま、ボンドのセリフだけをまねしてみても、そこに男の色気は醸成されてこない、ということでもあります。
ボディランゲージと自信の相関関係
でも、ジェームズ・ボンドのような自信を持てといわれたところで、誰もが今の仕事にすぐさま自信と誇りを持てるわけではないでしょう。忙しさに追われ、惰性で過ぎていく日々、私も含めて自信に裏打ちされた男の余裕なんて持てないという人がほとんどだと思います。では「ふつーのおじさん」が「男の色気」を身にまとうことは不可能なのでしょうか。
私は決してそうは思っていません。
最新の研究によると「自信」というのは、誰でもある方法によって、即効的に身にまとうことができることがわかっています。
ボディランゲージと言動との関係について研究しているハーバード大学の社会心理学者、エイミー・カディ教授の研究(※)によると、人間は力を誇示する場面では両手を上げてガッツポーズをとったり、腰に手を当てて胸を張るポーズをとったりして、体を大きく見せようとします。けれど逆に自信が持てない場合には、体を縮ませて猫背になり、自分の体を小さく見せようとします。自分の行動を思い返してみても、また他人の様子を見ていても「確かに」と納得できるはずです。
※出典:Amy Cuddy『Presence Bringing Your Boldest Self to Your Biggest Challenges』
カディ教授によれば、これを利用すれば「自信がない場合も体を大きく見せようとするだけで、自信を持っている雰囲気を身にまとえる」といいます。
要するに「ガッツポーズ」「胸を張る」という姿勢をとっただけでも、本当に自信がわいてくるのです。