※本稿は、菅原道仁氏の著書『「モテ」と「非モテ」の脳科学』(ワニブックス)の内容を再編集したものです。
中年でもカッコいい人は何がちがうか
「男の色気」という言葉があります。
「色気」とは何でしょうか。セクシー、妖艶、色っぽい……。どちらかといえば「男目線」で女性を形容するときに使うことのほうが多い言葉です。
では「男の色気」の正体とはどんなものなのでしょうか。年若い女性の知り合いに「色気のある男ってどういう人のことだと思う?」と聞いてみると次々と答えが返ってきます。
「やっぱりシブい感じの人」「雰囲気がセクシーな人」「中年になってもカッコいい人」「レディーファーストがわかってる人」「ガツガツしてない人」「オシャレな人」「加齢臭がただよってない人」「高級な店でさらっとおごってくれる人」──最後のは「単なる希望でしょ!」と思う一方で、「シブい」とか「セクシー」は「色気」のキーワードのようです。
私が色気のある男性と聞いて思い浮かべるのは、小説・映画『007』シリーズ主人公のジェームズ・ボンドです。映画では6人の俳優たちがジェームズ・ボンドを演じています。初代のショーン・コネリーから順に、ジョージ・レーゼンビー、ロジャー・ムーア、ティモシー・ダルトン、ピアース・ブロスナン、そして現在のダニエル・クレイグです。
「どの俳優のボンドが一番好きか」は意見が分かれるでしょうが、いずれの俳優もそれぞれに魅力的で「男の色気」を感じさせてくれます。「男の色気」を魅力的と感じるのは、女性だけではなく男性も同様です。
男の色気は自信がないと生まれない
ジェームズ・ボンドを「男の色気」のお手本、代表選手として考えてみましょう。ボンドはなぜこんなにも魅力にあふれているのでしょうか。
最初の要素としては、ボンドが常に、どんなシチュエーションにおいても「自信」にあふれているからでしょう。スパイという危険極まりない仕事を日々こなし、ありとあらゆるピンチに見舞われながらも、それを乗り越えられる実力に裏打ちされた「自信」が、見る人たちを魅了します。
1962年に公開された映画『007』シリーズ第1作の「007ドクター・ノオ」で、ボンドは米ソ冷戦下ジャマイカに飛びます。ホテルのスイートに泊まるボンドに、ルームサービスで飲み物が届けられるシーンがあります。
そこでホテルマンはこう言います。
「ウオッカマティーニです。ご注文通りステアではなくシェイクで」
イアン・フレミングの原作に書かれている通り、ボンドはドライマティーニをジンではなくウオッカで、しかも通常のステア(マドラーで混ぜて作ること)ではなく、シェイカーで振って作ってほしいとオーダーするのです。