走行写真(東急電鉄=写真提供)

ロイヤルエクスプレスは現在、横浜~伊豆急下田で運行しており、スタートから約1年半の間で8000人近くの人が利用する人気列車。車両の貸し出しとともに、これまで培ったノウハウをJR北海道へ提供する。

東急の関係者は、「今回の取り組みでは、当社にそれほど大きなメリットはない」と明かす。あくまでも観光振興、復興応援など、社会的意義のための“協力”としているようだ。

島田社長が東急を指名した理由に、観光列車事業のノウハウに加え、クルーのサービススキルが高いことを挙げている。また車両にインパクトがあることも、魅力の1つだ。

ロイヤルエクスプレスは、高級感漂うロイヤルブルーの車体がひときわ美しいと評判の列車である。数々のオシャレな列車を手掛けた水戸岡鋭治氏がデザイナーを務め、電車らしからぬラグジュアリーで個性的な内装も女性からの支持を集める。

1号車の様子(東急電鉄=写真提供)

緑萌える広大な北の大地を走るロイヤルエクスプレスは、さぞ美しかろうと想像をかき立てられる。英国の新聞「デイリー・テレグラフ」の公式ウェブサイトが発表した「アジアの最も美しい鉄道トップ10」18年版にも選出されている。

が、1つ大きな懸念が……。肝心なデザイン性の維持だ。

説明によれば、ザ・ロイヤル・エクスプレスは、JR北海道が所有するディーゼル機関車と電源車が牽引する編成になっている。

2号車の様子(東急電鉄=写真提供)

車両形式はまだ未定だが、同社所有のディーゼル機関車と聞いて想像するのは、例えばDE10形。野暮ったく、あか抜けない赤色に白ラインの入った車両だ。まさかアレに牽引させるのか。まったくオシャレさに欠けるものだと言ってもいい。

せっかく都会的で高貴な青色の車両が、ローカル臭漂う機関車に連結されれば、世界観の不一致に乗客が興ざめする。その点も含めて「東急のチャレンジ」なのかもしれないが、ここは編成の続報を待つとしよう。オシャレでハイセンスな東急ブランドの車両。北の大地で上手に生かし、乗客を魅了してほしいと願うばかりである。

(写真提供=東急電鉄)
【関連記事】
ハイチュウを米国でバカ売れさせた"接待"
規格外"コスモス薬品"がとにかく安い理由
セブンが勝てない「最強コンビニ」の秘密
少子化でも"プラレール"が過去最高の理由
軽自動車ばかりが売れる日本はダメなのか