今後の防疫対策には「感染ルートの解明」が重要
次は毎日社説より1日早い読売新聞の社説(2月9日付)。「感染を最小限で食い止めたい」との見出しを付け、毎日社説と同じく、愛知県の養豚場の問題を指摘する。沙鴎一歩も前述した感染拡大の起点となったあの愛知県豊田市の養豚場だ。
「広域への拡散は、愛知県の養豚場が元とされる。生まれた子豚が感染し、出荷先に広がった。ウイルスは岐阜県のものと同型だという。侵入ルートを特定して、対策に生かしてもらいたい」
やはり感染ルートの解明が、今後の防疫対策に役立つ。
「子豚には出荷前、体調異変が見られた。だが、養豚場や自治体の防疫担当者は、豚コレラと認識しなかった。危機感が希薄だったと言わざるを得ない。政府は対策の重要性を改めて周知すべきだ」
毎日社説と同様に危機感の希薄さを指摘するが、獣医師が診察しても「豚コレラならこの症状」という決め手がないという問題もある。しかし昨年9月に隣接する岐阜県で発生している事実がある。それに母ブタの食欲がなくなったり、流産したりした時点で出荷を自粛していれば、一気に5府県に感染拡大しなかったと思う。
ワクチンの投与では無症状の感染が続く恐れがある
さらに読売社説はワクチン接種についても意見を述べる。
「今月発効した欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)を契機に、政府は、豚肉など関連品の輸出拡大を目指している。清浄国であることは貿易交渉の前提だ。日本産の豚肉はアジアで人気が高いだけに、影響が懸念される」
「ワクチンの投与は拡大抑止の手段の一つだが、無症状の感染が続く恐れがある。清浄国と再度認められるまでの手続きも長引く。まずは、初期段階の封じ込めに全力を尽くすことが肝要である」
こうした読売社説の主張に沙鴎一歩は同意したい。
まずは出入りする車両の消毒を含めた養豚場の衛生管理をしっかりと行い、感染ルートを割り出してそのルートを断ち、海外からの侵入を水際で確実に防ぐ。一連の防疫態勢を再構築しながら着実に実行していく。そうすれば日本はまた必ず、清浄国に戻れるはずだ。