同時多発的始まった「黄色いベスト運動」

フランスでは車内に蛍光色の黄色いベストを常備しておくことが法的に義務づけられている。故障などで運転者が車両を離れる際の安全対策である。また黄色いジャケットは道路工事などのブルーワーカーのシンボルでもある。その人目を引く黄色いベストを纏った人々が各地で政府への抗議活動を開始、メディアの注目が集まるとともに参加者が増加して、瞬く間にフランス全土に広がった。これが「黄色いベスト運動」である。

反政府デモが常態化している(フランス・パリ、2019年1月26日)。(AFLO=写真)

この運動の特徴は組織だったものではないということだ。扇動する指導者がいない。フランス革命を誘発したバスティーユ監獄の襲撃のように、民衆の怒りが爆発する形で、同時多発的に抗議活動が始まった。もともとネットの署名活動からスタートして、2018年11月17日に30万人規模の大きなデモが発生、以降、毎週土曜日に抗議活動が行われるようになった。

当初は黄色いベストを着てデモ行進したり、幹線道路や高速道路の入り口を封鎖する程度だったが、極右や極左の政治的グループが交じり込んだこともあって一部が暴徒化し、器物を派手に破壊したり、放火騒ぎを起こすようになった。