ローソンも売り場面積を拡大
売り場のレイアウトをガラッと変えるまでの改革には至っていないが、ローソンやファミリーマート(以下ファミマ)も冷凍食品の開発には力を入れている。
「既存店の冷凍食品の売り上げは年々伸びており、18年上期は前年比125%で推移しています」(ローソン広報 持丸憲さん)
PBの冷凍食品アイテム数は、約70種類。平台の冷凍ケースで陳列するのではなく、扉を開閉する冷凍リーチインケースに並んでいることが多い。
「新店や改装店では2枚扉を3枚扉にして、冷凍食品の売り場面積を広げています。この3枚扉パターンの店舗数は、現在約6000店で今後も増やしていく予定です」(持丸さん)
近所のローソンを見てみると、確かに野菜などの素材系の冷凍食品から麺類、米飯ものまで、品目数が増えていた。
ローソンの冷凍食品の特徴は、健康に気遣う「ナチュラルローソン」ブランドもそろえていること。「野菜を食べるガパオライス」や「彩り野菜と熟成ベーコンのピッツァ」など、ナチュナルローソンブランドは7種類あるという。お弁当のおかずといったこれまでの冷凍食品のイメージを覆す新メニューの投入で、おしゃれさとヘルシー感に敏感な女性客に人気だというのもうなずける。
「冷凍食品の開発は、既存メニューをブラッシュアップしていくことが主ですが、単なるリニューアルではなく、容器の刷新も含めてより簡便性・利便性を追求します」(持丸さん)
具体的には蒸気口のついたものや、スタンディングパックなど、新たな冷凍食品のカタチを模索中だという。
40~50代女性の購入が多いファミマ
ファミマは味にうるさい40~50代の女性客を取り込みに成功している。
「地域や店舗によって差がありますが、冷凍食品の売り上げ前年比は110%で伸びています」(ファミマ広報 樋口雄士さん)
ファミマは近年、ドールブランドの冷凍フルーツなども出し、地域や店舗で差はあるものの約60品目の冷凍食品をそろえている。人気が高いのは惣菜シリーズとして売り出し中の「お母さん食堂」ブランドだという。
「『汁なし担々麺』や『極太つけ麺』など冷凍麺は味が評価されています。比較的、40~50代の女性の購入が多いのが特徴です」(樋口さん)
ミドルエイジの女性が手を伸ばすのは、たぶん「お母さん食堂」というネーミングに親近感を持つからだろう。
また、ひとりでラーメン店に入るのは気が引けるという女性は少なくない。ならばコンビニの冷凍麺を買ってみようという気になるのかもしれない。
ずっと地味な存在だった商品も、見せ方や新しい価値を創造すれば、主役になれる。満を持して放ったヒットに、今年は“コンビニ冷食元年”といっていいのではないだろうか。
コンビニ記者
関西大学社会学部卒業。会社員生活を経て、フリーランス記者として独立。2000年代前半からコンビニ業界に密着した取材を続け、ビジネスや暮らしに役立つコンビニ情報を各メディア、講演などを通じて発信中。著書に『セブン-イレブン 金の法則』(朝日新書)など多数。