読売社説は報復説を臭わせるような書きぶり

読売社説で気になるのは次の点だ。

「竹田氏は、賄賂の支払いを許可したという疑いを持たれ、仏司法当局が昨年末、起訴に向けた『予審手続き』に入った」と書き、「この時期に仏当局が予審を始めた理由は明らかではない」と指摘する。

なぜ読売社説は「この時期に」の一文を添えたのか。読売社説がその情報をつかんでいなければ添える必要はないはずだ。それを書いた。杞憂かもしれないが、報復説を臭わせるような書きぶりだ。

ただそうだとしても、刑事捜査は事実を積み重ねて真実を導き出し、法律に照らして違法性があれば起訴して裁判所の判断を仰ぐ。民主主義の先進国ならどこの国も流れは基本的に同じはずだ。つまりたとえ報復であったとしても、結果的にそこに違法性があれば司直の判断が下される必要がある。

招致活動に不可欠な「コンサルタント」をどう扱うか

「オリンピックは不正な資金にまみれている」とはよく耳に話である。この点に関し、読売社説はこう書く。

「招致を巡っては、02年のソルトレークシティー冬季五輪で買収疑惑が生じ、招致都市はIOC委員への接触が困難になった」
「招致活動の制約が厳しくなった結果、情報収集などを担うコンサルタントの有用性が増した。このため、彼らなしでは十分な招致活動ができない面もある」

毎日社説もこう指摘する。

「02年ソルトレークシティー大会招致に際しての買収疑惑を契機に、開催地決定の投票権を持つIOC委員の立候補都市訪問は禁止された」
「その分、ロビー活動を請け負い、IOC委員と立候補都市との仲介役を果たすコンサルタントの役割が重要になっている」

コストが増すコンサルタントをどう扱うのか。来年の東京五輪をめぐっても経費が膨らむなど大きな問題がいくつも出た。東京五輪の開催を契機に日本が先頭にたってオリンピックの正常化に尽力すべきだ。それには日本が国際的に力を付けるしか道はない。

(写真=時事通信フォト)
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