人生経験を積んで見えてきた「天皇制の意義」
ここまで政治の話を絡めて小難しく言わなくても、さっきも言ったように、三角関数を知らなくても人生に成功して、人生が充実している人をどれだけ知っているか、三角関数を知らなくても人間的に素晴らしい人をどれだけ知っているかという人生経験の多寡によって、三角関数の必要性についての認識が変わってくるんだろうね。
こういう三角関数的知識を重視する連中に限って、橋下は無知だなんだと罵ってくる。人生弁護士しかやったことのない弁護士、特にちょっとテレビでコメンテーターを務めたことを自慢に思っているプライドの高い弁護士なんかがよく罵ってくるんだよ。会ったこともないお前らに無知呼ばわりされる理由はないし、こう罵ってくる連中よりも、僕は人生それなりの経験をして、それなりの勉強をしてきたという自負はある。あえて言うけど、こういう三角関数的知識重視の連中に限って、人間的な魅力がないんだよね。三角関数を深く知るよりも、まずはもっと世間を知れっていうんだよ。
僕が大学生の頃に天皇制に反対だった話に戻すと、司法試験の勉強を始め、憲法を突っ込んで勉強すればするほど頭でっかちになっていき、天皇制と憲法の矛盾に頭を悩ませるようになってきた。そして周囲も憲法を必死に勉強している連中ばかり。ほんと狭い世界で考えていたよね。そうなると現実の国民の感覚、社会の実際からかけ離れた方向にどんどん自分の考えが進んで行ってしまう。おそらく学者の世界ってこんな感じなんだろう。
天皇・皇室を特別な地位にすることは平等主義とどう整合するのか。天皇は政治的権能を有しないとしつつ、選挙で選ばれていない者が一定の政治的役割を果たすことは、国民主権とどう整合するのか。
日本の長い長い歴史や今の国民の感覚からかけ離れてしまい、ただただ憲法の世界の中で考えてしまう。そして人生経験が乏しいと、この憲法の理屈に引っ張られて、天皇制と憲法の矛盾を乗り越えられず、最後には天皇制反対となってしまうんだよね。
それが社会人になり、人生経験を積んで世の中がだんだん見えてくると、天皇制の意義を理解してくるようになるんだよ。
他方、学生でもないのに、いまだに天皇制に絶対的に反対している人たちもたくさんいるけど、そういう人たちは、頭でっかちの学生のまま大人になってしまった人か、人生経験が乏しい人なんだろう。まさに三角関数絶対必要派みたいに、多数の国民のこと、実社会のことをよく知らない人たちなんだろうね。
(略)
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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.134(1月8日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【迫る天皇譲位(1)】国民主権とどう整合するのか? 社会経験を積んで見えてきた天皇制の意義》特集です。