2度目の再逮捕では特捜部の捜査にがっかりさせられた
12月22日付の東京新聞の見出しは「『私物化』の事実解明を」と単純だが、本文の書き出しはおもしろい。
「空港にジェット機で降りたところを電撃逮捕された。今度は拘置所から保釈される直前に、電撃的に再逮捕された」
11月19日夕方のあの逮捕劇には沙鴎一歩も驚いた。ニュースを日本だけでなく、欧米のマスコミも次々と大きく報じた。2度目に驚かされたのが、12月10日の同じ容疑(有価証券報告書の虚偽記載)での再逮捕だった。5年という容疑期間を単に3年増やしただけの内容だった。驚いたというよりも特捜部の捜査にがっかりさせられたと言ったほうが正確だ。
さらに12月20日の東京地裁の拘留延長の却下。そして今回のどんでん返しの特別背任容疑での逮捕。事態の急変に驚かされるばかりだった。
故郷ブラジルでのクリスマス休暇は水泡に帰した
ゴーン氏も特別背任容疑での逮捕は想定していなかったのではないか。東京社説は「ゴーン容疑者には21日は保釈どころか、特別背任という新容疑で勾留が続く日になった」と書いている。
事実、ゴーン氏の弁護を引き受けた弁護士のひとりは、逮捕日の21日午前中にゴーン氏に面会して引き返した後、すぐに(午前10時半過ぎ)東京・小菅の東京拘置所にタクシーで引き返してきた。拘置所を出た後に逮捕の知らせを聞いてあわてて戻ってきたのだろう。弁護士にとっても寝耳に水の逮捕だった。
逮捕前にゴーン氏は弁護士から保釈の手続きについて説明を受けていたに違いない。クリスマスには故郷のブラジル・リオデジャネイロの高級住宅で家族や親戚とともに過ごせると期待していたはずだ。この住宅も日産の子会社に6億円で購入させ、私的に使っていたという。