医療と介護の費用の合算で一定額を超えると超過分が還付

2018年8月から2019年7月の「高額介護合算療養費制度」の年間上限額は、

「住民税非課税」の世帯で:19万円~31万円
「一般」の世帯:56万円
「年収370~770万円」の世帯:67万円
「年収770万円~1160万円」の世帯:141万円
「年収1160万円~」の世帯:212万円

となっています。

井戸美枝「身近な人が元気なうちに話しておきたい-お金のこと-介護のこと」(東洋経済新報社)

収入が年金だけの世帯では、「住民税非課税」「一般の世帯」「年収370~770万円」のいずれかに該当する場合がほとんどです。つまり、医療費と介護費を合わせた年間の上限額は、最大で67万円となります。

今後、高齢化がすすみ、負担が増える可能性はあるものの、保険が適用される部分については上限額が設定され続け、極端に高い費用がかかることはないと考えて良いでしょう。

介護施設の種類にはどんなものがあるのか

次に、介護施設についてみてみましょう。

介護施設に入所する場合は、その種類によって、費用は大きく異なります。

介護サービスを提供している施設は、「介護保険で入所できる施設」(A)と、「民間が運営している施設」(B)の2種類があります。

「介護保険で入所できる施設」(A)は、以下の3つです。

(1)「介護老人福祉施設」(特別養護老人ホーム)
(2)「介護老人保健施設」(老人保健施設)
(3)「介護療養型医療施設」(介護療養病床)

これらの施設は、創設の経緯が異なり、医療をメインとするところなど、それぞれに特徴があります。

(1)の「介護老人福祉施設」は、これまで特別養護老人ホームとして「生活の場」を提供してきたもので、日常生活を送るという面で優れています。入居時に支払う一時金が不要で、毎月の費用は7~16万円程度。ただし、入居希望者が多く、介護度が「要介護度3」以上であることが入居の要件であったりするなど、なかなか入れないのが現状です。

(2)の「介護老人保健施設」は、病院と自宅との中間に位置する施設です。病状が安定しても、すぐに自宅に帰ることができない場合に、医療ケアと介護サービスを受けながら、再び自宅で暮らせるようリハビリテーションを行います。利用期間は3カ月から6カ月程度が想定されていますが、更新や再入所も可能です。毎月の費用は8~17万円程度で、「要介護1」以上の人が入所できます。

(3)の「介護療養型医療施設」は、脳血管疾患や心疾患などの急性期の治療を終え、回復期に入った高齢者がリハビリや継続的な医療を受けるために入院する施設です。

これまで社会的入院の問題と言われていたのが、この分野です。本来なら医療よりも福祉に近い状態にあるのに、医療の分野でサービスが提供されてきたとも言われています。こうした流れを受け、介護療養型医療施設は、2024年3月に廃止され、新たに「介護医療院」になります。

介護医療院は、要介護者に対して「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を一体的に提供する施設として定義されています。