美人の受付嬢か、障がい者雇用か

もはや社会に欠かせない外国人労働者/「ローソンのライバル・ファミリマートでは、トイレ掃除用のシートを使い捨てにすることで、24分の掃除時間を10分に短縮できた」という。「ローソンには頑張ってほしい」と飯島氏。(写真=時事通信フォト)

もう一つ、いま日本の雇用が抱える問題としては、今年の夏に発覚した障がい者雇用の水増し問題がある。

障害者雇用促進法では、行政機関、民間企業に対して一定割合以上の障がい者雇用を義務付けている。法定雇用率は行政が2.5%、民間が2.2%だ。今回発覚した問題は、国の行政機関の約8割にあたる27の機関で実際の雇用者数よりも多いように見せかけられており、本当の障がい者雇用率は1.19%だったという“事件”だ。

パラリンピックサポートセンターを運営するなど、障がい者支援に力を入れている日本財団の尾形武寿理事長に話を聞いたところ、どうしても障がいのある方に割り振られるのは、コピー取りやファクスの受領など補助的な業務が多くなりがちで、働く意欲の高い障がい者にとっては不満も多いらしい。最近はペーパーレス化が進んでいるので、そうした仕事も減っている。

もちろん、体に何らかの障がいがあっても、他の従業員とのコミュニケーションや、パソコンを使った業務などをこなして、一般の従業員以上に有能な人もいる。しかし、障害者手帳を持っている人は限られており、日本中の行政機関や企業が障がい者雇用の法定雇用率を守ろうとすると、人材の奪い合いが起きてしまい、ここでも人手不足が発生しているのである。中央官庁では障がい者雇用の水増し問題を解決して、法定雇用率に回復するために、来年度は約4000人の雇用をめざしているが、数値目標としては非常に厳しい。

いまでもいるのかどうかわからないが、厚生労働省、環境省の入っている合同庁舎で障がい者に「エレベーターガール」を、小泉純一郎政権時に、お願いしていたことがある。役所では「昇降手」という職種で呼ばれていて、乗客に目的階を質問してボタンを押すという仕事を担当していた。正直にいえば、エレベーターに乗って自分でボタンを押したほうが早いし、彼女たちのたどたどしい仕事ぶりにエレベーター内に妙な緊張感があったようだ。

ヤマト運輸の小倉昌男さんは障がい者雇用を積極的に進め、いまでもヤマト運輸は、スワンカフェなどで多くの障がい者を雇用している。障がい者を積極的に採用できる企業、活躍できる国、社会というものは、それだけの余裕があるということを、外に向けてPRできるのではないだろうか。

例えば、会社の受付にものすごい美人が座っていると「この会社、暴利を貪り食っている」ように思えてしまうが、一人でも障がい者がいたら「きちんとした利益を出す、きちんとした会社」のように、私には思えてならない。

(写真=iStock.com/時事通信フォト)
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