(3)3月4日&13日配信号より抜粋――「イタリア総選挙視察」

3月4日に投票を迎えるイタリア総選挙視察ですが、今回は第一党になることが見込まれる、SNS中心に活動する「5つ星運動」を中心にヴェネツィア、フィレンツェ、ローマで取材しています。ヴェネツィアでは大雪、フィレンツェでは大雨、というかなり辛い天候のなか、なんとかがんばって取材と視察をこなしています。5つ星運動はどんなに優秀な議員でも2期10年しか立候補の権利がないため、若く様々な業界で活躍するメンバーが人生の何年かだけは公に尽くすという点が、汚職大国イタリアの国民には受けているようです。

本日は投票日前日のローマに入りました。

「レンツィ元首相・最後の訴えと汚職大国イタリア」

イタリアの選挙では、投票日の2日前までしか選挙運動が出来ません。私たちのフィレンツェ滞在最終日がその日に当たったので、「弁護士でフィレンツェ元市長、フィレンツェ元県知事」という、どこかで聞いたことのあるような経歴のマッテオ・レンツィ元首相の民主党最後の集会に行ってきました。街中の人々の間では、聞く限り悉く酷評を受けていたレンツィですが、民主党の集会ではいかにも既成政党支持者・労組系支持者、という感じの熱烈なファンが押しかけていました。驚いたのが、昔日本でもあったような炊き出し(食事の無償提供)が、有権者に堂々と振る舞われていたこと。ワインと郷土料理の美味しそうなラインナップ(笑)。

「違法かどうかわからないけどこれは慣例です」、とスタッフの皆さんがおっしゃっていました。演説のレンツィも最後くらいは何か威勢のいいことを言うのかと思ったのですが、過去の自分の実績とばら撒き政策を少し叫ぶだけで、新しい支持を拡げることは難しそうだなと感じましたが、結果、散々でしたね。そういえば今回、ヴェネツィアで対談した公職の方に役所の中でお会いした際に、仲介者からお土産が安価過ぎると苦情を受けたのです。日本では役所内で民間人が公職に高価なものを渡すなんてありえないのでものすごく驚きました。5つ星運動のような身分に固執しない新勢力が支持されても、このような贈り物習慣や、炊き出しのような有権者買収に繋がるようなことが行われている以上は、汚職大国イタリアは改善しないだろうな、と思ったしだいです。

⇒大阪維新の会と変わらないくらいの歴史しかないイタリアの5つ星運動。いまや政権の一端を担っています。橋下も彼らからとても学ぶところが多く、その後著書『政権奪取論』にも書き綴っております。