ハラスメントに巻き込まれてしまう恐れもあります。川で流されている子供を救おうとして飛び込んだところ、子供は助かったけれど助けに入った人が亡くなったり、両方ともが犠牲になってしまう状況を「二次被害」と言いますが、それはパワハラでも起こります。腹を立てた上司が、助けに入ったあなたにも害を加える可能性が大いにあるのです。

リスクなしで訴える方法とは

薄情に聞こえるかもしれませんが、いかにローリスクで同僚を救えるかを考えるべきです。まずできることは、パワハラ、セクハラを受けている同僚のケアをすること。上司の愚痴を聞いて同情したり、なぐさめたり、できる範囲でアドバイス、相談に乗ることです。

ハラスメントを個人の問題にせず、組織の問題にすることも大切です。まともな企業なら、会社として、パワハラ、セクハラの社内規定があって、防止の取り組みをしているはずですし、労働組合という窓口がある。無記名でリスクなしに訴えることです。

2018年話題になった日本大学アメフト部、日本ボクシング連盟のパワハラも、内部告発から明るみに出ました。パワハラしている側は自分の責任を認めないものですが、1度問題になれば、左遷などの処分は避けられないもの。きちんと告発して、ハラスメントをなくしていくことが求められます。

川名好裕
立正大学心理学部教授
東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。著書に『恋愛の俗説は8割ホント。』がある。
(構成=伊藤達也 写真=iStock.com)
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