日本の刑事司法制度に対する欧米メディアの批判
再逮捕前、日経新聞がこんな社説(12月7日付)を書いていた。
冒頭で「海外から日本の捜査手法や刑事手続きに対する批判が相次いでいる」と指摘し、「こうした指摘に真摯に耳を傾け、見直すべき点があれば検討課題としていくことは当然だ」と主張する。見出しも「海外からの捜査批判に説明を」だ。
沙鴎一歩はこの主張に賛成する。
そもそも欧米と日本では制度が違う。東京地検特捜部は、日本の刑事司法制度に対する欧米メディアの批判に耳を傾け、きちんと説明すべきだ。
東京地検の久木元伸・次席検事は10日夕、東京・霞が関の検察合同庁舎で再逮捕と起訴を記者会見で発表した。この会見には欧米などの海外メディアも参加した。検察当局が逮捕などを公表する記者会見に海外メディアを参加させるのは珍しい。その姿勢自体は評価できる。
次席検事は「適正な司法審査を経ている」と繰り返すだけ
問題は会見内容だ。国内外のメディアから「同じ容疑なら最初からいっしょに起訴すべきではないか」「これ以上、拘留を続ける必要があるのか」といった質問が相次いだ。しかし久木元次席検事は「適正な司法審査を経ている」と繰り返すだけだった。
なぜ質問に答えないのか。「適正な司法審査を経ている」とは「裁判所から了承を得ている」という意味だろう。海外メディアなどから批判の声が吹き出しているときに、木で鼻をくくったようなで対応とは理解しがたい。
これは安倍晋三首相の国会答弁や態度に似ている。検察にも驕りがあるのではないか。もしそうであるなら、かつての検察を思い出し、日本最高の捜査機関としての自覚を取り戻してほしい。
日経社説に戻ろう。
「日本と欧米とでは刑事司法全体の仕組みが大きく異なる。一連の批判の中には、司法制度や司法文化の違いを無視した単純な比較や、誤解、思い込みによる主張も目立つ」
こう指摘した後に日本とフランスの拘留仕方の違いを具体的に説明する。