早慶上理ICU合格者 校名変更前1人→変更後94人
その中の1校、東京都市大学等々力はもともと「東横学園」という女子校だった。学校関係者によると「他校に比べて進学校化などの改革が遅れていた」こともあり、東横学園は生徒募集に苦戦していた。とりわけ中学校にいたっては、2000年代に入ったころは、1学年2クラスを確保するのがやっとの状態だった。
転機が訪れたのは2009年。母体の五島育英会(東急グループ)が系列の武蔵工業大学を「東京都市大学」に名称変更したときだ。東京都市大学等々力は校名だけでなく、これを機に共学化に舵を切るとともに、入試制度や中高一貫の教育内容にも抜本的な改革をおこなうなど、起死回生の策を講じたのである。
その策は当たった。大学合格実績を見てみよう。2010年度の東横学園時代、卒業生58名に対し、現役合格の結果は、国公立大学2名、早慶上理ICU1名、G-MARCH4名だった。これが8年後の2018年度には、卒業生176名に対し、国公立大学43名、早慶上理ICU94名、G-MARCH180名の現役合格者を輩出している。
2018年度の大学入試合格実績は文部科学省主導による「定員超過の厳格化」の影響があり、私立中高一貫校のほとんどが前年比で大学合格実績を落とした。そんな中で、この東京都市大学等々力は前年比で合格実績を大きく伸長させた数少ない学校のひとつなのだ。
東京都市大等々力が前年比で合格実績を大きく伸長させた理由
なぜ、東京都市大学等々力は飛躍できたのか。
その原動力になったのは、「生徒たちの自学自習」を徹底させる教育方針にあるという。全学年の生徒に配布されるのは「TQ(Time Quest)ノート」。見開き2ページに1週間分の、部活や勉強時間などのタイムスケジュールを書き込んでいく。それを担任が随時チェックしていくという。これにより、生徒たちはタイムマネジメントの能力を育むことができる。
また、東京都市大学等々力が目指しているのは「学校完結型」の学習システムである。たとえば、月曜日から金曜日は毎朝15分のテストを実施。採点結果を分析・管理し、その採点結果はその日の放課後までに生徒たちに伝えられる。芳しくない得点結果だった生徒には補習や再テストを徹底的におこなっている。塾に通わずとも、学校内で大学受験対策が完結できるのだ。
こうした取り組みが評判を呼び、いまや押しも押されもせぬ人気校へとその姿を変えたのだ。