中学受験の本番が迫ってきた。親はどんな学校を選べばいいのか。受験カウンセラーの鳥居りんこ氏は「合格実績だけで学校を選ぶとミスマッチになりやすい。『宣伝フレーズ』を鵜呑みにせず、慎重に学校を選ぶ必要がある。キーワードは『真の教養』だ」と話す。どういうことなのか――。
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数年経つと“死語”のように消える中高一貫校のキャッチフレーズ

暮れも押し迫り、中学受験の本番が間近に迫ってきた。

受験生のいる各家庭では最終的な志望校選定の時期を迎えたことになる。その際、保護者は今一度、“わが家の教育方針”とは何かということを再確認するといい。すなわち、親として「中高時代に、わが子にどんな力をつけてもらいたいか」を明確にするということだ。

筆者の友人に中高一貫校の取材経験が豊富な女性ライターがいる。彼女はこう言った。

「中高を取材していると、先生方のコメントにも流行があることがわかります。ちょっと前までは『リーダーの育成』。同じ方向性で少し盛った表現だと『国際社会で活躍する真のリーダー』。そして、今のはやりは『解のない社会を生き抜く力』。これを全部盛りこんだ表現にすると『ITによる変革が激しい時代にあって、探求により深い思考力、表現力、プレゼン能力を身につけ、道具としての英語力を身につけ、異文化を理解し、コミュニケーション能力を育む』という感じでしょうか」

筆者も中高一貫校への取材経験が長いが、全くその通りと言わざるを得ない。

学校説明会、あるいはパンフレット、ホームページという手段を使って、学校情報を発信する場合には“キャッチコピー”が必要となるのだろう。その文言自体にはさほど違和感を抱かないが、問題はそれが「流行」してしまうことだ。

ある学校がそのキャッチコピーで集客(受験者数増加)に成功したと見るや、同じような文言があふれることになる。「キャリア教育」「アクティブラーニング」「グローバル」「国際教育」「ITC」「サイエンス」「理数教育」……。数年経つと“死語”のように消えて行く運命のものも数多い。

受験者数を増やすため有名大学合格実績目標を掲げる

昨年と今年では全く違う事を堂々と言う学校の先生もいる。その見事な朝令暮改ぶりには面食らうというよりも、先生方も少子化の中、「生き残りに大変なんだな」という感想を持ってしまうのだった。

少し前の時代は「お約束」を掲げる学校も多く、例えば「G-MARCH100」など、6年後の大学合格実績目標を前面に打ち出す学校も多かった。中高一貫校にとっては、「出口」となる生徒の進学先の大学の知名度にはこだわりたいのだろう。それが、「入口」である受験の人気度や偏差値にも直結する。

もし親がわが子の最終学歴を難関大学にさせたいと願うなら、学校よりも予備校のように受験対策に特化している場所にわが子を置いたほうが結果は出るかもしれないが、それを実行する親は案外少ない。なぜか。親の多くは学校に対して、最終学歴を得るためだけではない“効能”を期待していることの現れではないかと筆者は考えている。