1月、埼玉・千葉で首都圏の中学入試が幕を開ける。学校によっては数千人規模の受験者が集まるが、これは2月1日から東京・神奈川で試験が始まるのを前に、「事前練習」で受ける子供が多いからだ。中学受験塾代表の矢野耕平氏は「『1月入試は滑り止め』と油断すると、2月入試でも実力を発揮できないことがある」という――。
中学受験幕開け、受験生が殺到する埼玉・千葉の「1月入試」
「本日、多数の受験生のため、埼京線ならびに湘南新宿ラインは混雑いたします」――近年、JR渋谷駅では1月10日の早朝、このような構内アナウンスが流れる。
東京の中学受験生が挑む都内・神奈川県の中学入試は2月1日に幕を開ける。ただし、「入試本番」ということであれば、彼ら彼女たちの多くは2月1日から始まるのではない。1月から始まるのだ。
1月には埼玉県と千葉県の私立中学入試が各校で実施される。それだけではない。寮制度を導入している地方の学校が東京会場での入試をおこなっている。東京の中学受験生の大半は第1志望校の「事前練習」でこれらの1月入試を受験するのだ。1月入試の代表校は以下の通り。
【埼玉県】
栄東、開智、浦和明の星、埼玉栄、大宮開成、城北埼玉、星野学園、獨協埼玉、立教新座など
【千葉県】
渋谷教育学園幕張、東邦大学東邦、市川、専修大学松戸、国府台女子学院、東海大学浦安など
【地方】
西大和学園、北嶺、土佐塾、愛光、早稲田佐賀、佐久長聖、札幌聖心女子学院、不二聖心女子学院、函館白百合学園、函館ラ・サールなど
冒頭の1月10日のエピソードは埼玉県の私立中学入試の解禁日であり、何校もの入試がおこなわれる。たとえば、昨年1月10日に実施された栄東(埼玉県さいたま市)の入試会場には、この1日だけで実に約4000名の受験生たちが集まった。
また、1月20日に実施される市川(千葉県市川市)の入試はその規模の大きさがよく知られている。入試会場は幕張メッセで、昨年は約3000人の受験生が集まった。ずらりと机が並ぶ光景は壮観だ。