巣鴨を受験していた層がどんどん本郷の受験へ
ここから容易に推察できるのは、それまで巣鴨を受験していた層がどんどん本郷の受験へとシフトしてきたことだ。それは一体なぜか。
巣鴨の人気が凋落したのは、徹底した管理教育が年々敬遠されるようになってしまったことが大きいといわれる。たとえば、正月早朝から道場でおこなう寒稽古、褌姿で実施される遠泳、そして校門での「一斉持ち込み検査」(携帯電話の持ち込みは禁止)など、ともすれば「時代錯誤」的なイメージを抱いた受験生や保護者が多かったのかもしれない。
反面、本郷の校風は自由でのびやかなものである。教員たちと生徒たちの距離は近い。そして、授業は生徒たちに勉学を楽しませることで「自学自習」の精神を養っていきたいという思いに貫かれている。
もちろん、偏差値だけで、巣鴨を論難するつもりは毛頭ない。実際、「入口」のレベルは下がったとはいえ、その管理型教育が実を結び、「出口」の大学合格実績は目を見張るものがある。言い方を変えれば、「お買い得」な学校ともいえるのだ。
存亡の危機に瀕していた学校が大人気校になった実例
一方、存亡の危機に瀕していた私立中高のなかには、大きく様変わりした事例もある。例えば「渋谷女子」「順心女子学園」「東横学園」「戸板」「日本橋女学館」といった女子校は、今ではすべてが共学となり、それぞれ校名を変え、「渋谷教育学園渋谷(東京・渋谷区)」「広尾学園(東京・港区)」「東京都市大学等々力(東京・世田谷区)」「三田国際学園(東京・世田谷区)」「開智日本橋(東京・中央区)」となった。
5校は、校名を変える前の偏差値は30~40台だったが、いまは50~60台後半となっている。校名にあわせて教育内容を大胆に変えたことで、人気校へと変身を遂げたのだ。