「保育園に通い始めて2カ月。毎週病気で休むうちの娘は問題があるのでしょうか?」

【森戸】アメリカの権威ある小児科の教科書『Nelson Textbook of Pediatrics』第18版に、小児は平均して年に6~8回風邪をひき、9~15%は少なくとも12回風邪をひくと記されています。少なくともということは、お子さんによっては月1回以上のペースでかかってもおかしくないということ。小さい頃に感染症を繰り返すのは普通のことです。極端にナーバスになる必要はありません。お母さんからもらった免疫力は生後半年でなくなり、そこから数年かかって免疫ができあがり、徐々に風邪もひかなくなります。ただし、入院が必要な重症感染症に年に何度もかかる場合は、免疫系の異常がないかを検査する場合があります。担当した医師に相談してみましょう。

「お医者さんが出してくれるお薬は、とりあえずもらっておいたほうがいいんですか?」

【森戸】昔は熱が出たら抗生剤を処方するのが慣習でした。それもあってか、「前回抗生剤で治ったから、また出して」と言われることがあります。しかし抗生剤は細菌には効果がありますが、ウイルスによる風邪には効きません。「せっかく来たのに薬を出さないのも悪い気がするな」と考えて処方する医者が多いのが実情です。

薬に頼らず治るのが一番の理想ですから、「薬は飲ませたくない」「要らない」という要望があれば、それに沿って対処します。希望を言うのは全然失礼ではないし、医者としてはぜひ言ってほしいです。たとえ医療費の助成で窓口の支払いがなくても、処方箋の発行や薬の提供で医療費は発生しています。その薬を飲まなかったり、余ったからといって捨てるのは、いろんな面でムダということも再確認しておきましょう。

薬が残っている状態で症状が治まった場合には、それ以上飲まなくていい薬もあるし、症状がなくても続けて飲む薬もあります。最後まで飲んだほうがいいかどうかは医者や薬剤師さんに聞きましょう。説明義務があるので、丁寧に教えてくれるはずです。

▼地域外でも重宝するスマホアプリ
《教えてドクター》
長野県の佐久医師会と佐久医療センターが中心になって作成。子どもの症状や病名を選ぶと、病院受診のタイミングや家庭でのケアの方法などを教えてくれる。予防接種のスケジュールを月別に表示する機能や災害時の子どものケアまで盛り込まれている。
《小児救急支援アプリ》
大阪大学、大阪市立大学、大阪市消防局が共同開発。子どもの病気やけがの症状をチェックすると、緊急性を判断してくれる。大阪府内では119番通報への誘導や看護師に救急医療相談ができるが、大阪府以外でも救急車を呼ぶ判断の目安に。