全体を意識しながら褒める

このようなケースでは、どのように褒めればいいのでしょうか。まずは全体を褒めます。合唱祭のケースであれば、クラスみんなに向けて「みんなのコミュニケーションがよかったから、優勝できました」「クラスがまとまってよかった」と褒めることで、全員が「みんなで一緒にがんばった」とヨコのつながりを意識することができます。

リーダーも「みんなをまとめることができたんだ」という気持ちを持つことができます。女子を褒める時には、全体を意識することが重要です。個人を褒めたい場合は、面談の機会を使って褒めましょう。

余談ですが、これが男子であれば、リーダーをみんなの前で直接褒めても、何の問題もありません。褒められた子はむしろ、そのように褒められたことを誇りに思い、他の子も次は自分がその立場になりたいと競ってがんばるのが男子の特徴です。

学校外にも活躍できる場所を

ヨコ並びが心地いいというメリットの裏には、「突出できない」というデメリットがあります。このデメリットを埋めるには、たとえば学校外での習い事や活動などでがんばることが一つの方法だと考えます。

女の子たちの会話の中には、「Eちゃんはバレエのコンクールに出たんだって」「Fちゃんは自分でアプリをつくれるらしいよ」など、友達の「こんなところがすごい!」という話がよく出てくるものです。

学校の中ではヨコ並びの関係に縛られていても、学校外の評価軸であれば、女の子はそれを安心して認めることができます。あの人もがんばっているのだから、私もがんばらなければと、お互いにやっていることは違っても、相手をリスペクトし、目標にしながら自分もがんばるきっかけになります。

ですから、何か一つ自分の得意なものを持つことは非常に重要です。学校以外の場で自分が人より秀でているものを持っていれば、自分に自信を持てる、つまり高い自己肯定感を持つことができるからです。それもあって、親御さんには「お稽古事を続けてください」とお話しするようにしています。

吉野明(よしの・あきら)
私立鴎友学園女子中学高等学校名誉校長
東京三鷹生まれ。一橋大学社会学部を卒業し、鴎友学園の社会科の教師となる。以来、44年間、女子教育に邁進。鴎友学園における高校3年生時点での文系・理系選択者はほぼ半々という、女子校の中では極めて高い理系選択率を実現。女子の発達段階に合わせて考えられたプログラムなどにより、女子生徒の「自己肯定感」を高め、“女子が伸びる”学校として評価されている。
(写真=iStock.com)
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