「働いている子供の人生は邪魔できない」
●Nさん、67歳「子供には子供の生活があるから邪魔したくない。自分のとき(介護が必要となったとき)のために準備できることは今からしておきたい。できれば子供たちに迷惑をかけずにぽっくり死にたい」
●Oさん、51歳「母は、私たちに介護(で情けない姿を)を見せてきちゃった、と毎日言っている。悔恨の念にかられているみたい。私も子供たちには見せたくない」
●Mさん、50歳「介護というと、マイナスの暗いイメージしか持てないものばかりが報道されている。でも、実際、息子が(親の介護で)仕事をやめたら最後。収入源を失ったら本当に怖い」
「子供に迷惑をかけたくない」の真意は「子供への遠慮」というより、「子供に余計な負担をかけられない」「子供の人生の邪魔はできない」という現実的な問題が大きいのではないかと感じました。「子供に迷惑をかけたくない」は「子供に迷惑をかけられない」という意味だったのです。
介護は一筋縄ではいきません。精神的・肉体的な負荷は相当なものがあります。自分を育ててくれた親に報いたい。そんな気持ちが強すぎて、逆に体を壊してしまい、共倒れしてしまうリスクもあります。介護は「自分ひとり」で抱え込まず、周囲(きょうだいや親族など)の人々をいい意味で巻き込むようにすることが大事なのではないでしょうか。
そして、「家族」と協力しても解決できない場合は、早い段階で「外部の施設やヘルパー」の力を借りる。そのほうが、よりよいサービスや正確な情報が安く受けられるなど、家族にとって具体的かつ最適な解決策が見つかるはずです。
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