嫁が義母・義父を介護するケースが減っている理由
では、嫁の立場で義母・義父を看る場合は誰の協力を得ていたのでしょうか。
サンプル数は少ないのですが、「配偶者(夫)と協力」や「きょうだいと協力」「外部の施設・ヘルパーと協力」が比較的多くなっています。
▼義母の介護経験者(18人)
配偶者(9人/50%)
外部の施設・ヘルパー(5人/27.8%)
きょうだい(3人/16.7%)
ひとり(1人/5.6%)
▼義父の介護経験者(5人)
きょうだい(2人/40%)
外部の施設・ヘルパー(2人/40%)
配偶者(1人/20%)
義父の介護経験者は5人しかおらず、その5人とも、きょうだい・夫、施設・ヘルパー任せで、「自分ひとり」という女性(嫁)はいませんでした。嫁と義父の関係性は、他の人間関係に比べ、希薄であることがこうした結果の背景にあると思われます。
「嫁が夫の両親の世話をする」という“常識”は、もう一般的ではないでしょう。「核家族化が進行した結果、義親とは別居世帯」「共働きにより、夫の権限が弱体化」など外部環境が変わりました。そして、義父に限っていえば、異性への生理的な抵抗感も影響していると考えられます。
「義母はなんとかなる。義父は手がかかる。すごく頑固」
実父母を看るケースより、「外部の施設・ヘルパー」への依存度が高くなっているのは他に理由があるでしょうか。聞き取り調査では次のような意見もありました。
●Tさん、69歳(女性):義父を介護「自分の母親には遠慮なく言えるけど、義父母には遠慮があって、何かあったら主人を介して言いました。義父は神経内科にかかっているからお風呂や食事にこだわりがいろいろあり、そうした世話をする場合は主人に変わってもらっていた。義母の場合は女性だからなんとかなる。義父は手がかかる。すごく頑固。だから、施設にお願いするしかなかった」
義父の場合、嫁が無理して看るより、外部の施設やヘルパーの力を借りたほうが、お互いにとって幸せなのかもしれません。