日本では1982年に「逆噴射」の墜落事故が起きている
沙鴎一歩の推測に過ぎないが、自殺とみられる旅客機の事故はいずれも、世界的なパイロット不足で航空会社が操縦士のやり繰りに追われるなかで、航空会社が操縦士の精神疾患に気付かなかった問題が背景にあると思う。
航空会社がパイロットの健康管理を徹底するのはもちろんだし、乗務員自身が航空会社に気軽に相談したり、異変に気付いた周囲が簡単に知らせたりできるシステムをきちんと構築すべきである。
日本では精神疾患を患った機長が「逆噴射」で旅客機を墜落させた1982(昭和57)年の日航機羽田沖事故以来、乗務員の心身両面の健康チェックが厳格に実施されているという。
だが、今回、異常とも思えるほどのアルコール濃度が検出された副操縦士もいる。なぜそこまで飲み過ぎてしまったのか。常習犯なのかもしれないし、精神面に不安を抱えていたのかもしれない。いずれにしても日航の健康チェックは不十分だったと言わざるをえない。
日本ではパイロットの自殺が疑われるような墜落事故は1件も起きていない。だからといって乗員の健康管理に手を抜いてはならない。
(写真=時事通信フォト)