ANAも「飲み過ぎ」で国内線5便が遅れるトラブル

全日本空輸(ANA)でも、グループ会社のANAウイングスで10月25日、機長が前夜にビールなどの飲み過ぎて体調を崩して乗務できず、国内線5便が遅れるトラブルが起きている。全日空では12時間以内にお酒を飲んだ乗員の搭乗を禁じているが、この機長は10時間前まで飲み続けていた。

10月3日には全日空のパリ支店長が、酔っ払って乗客にけがを負わせる事件を起こしている。

5月には日航の国際線の男性客室乗務員が勤務中、機内のトイレで酒を飲んでいたことが発覚した。

立て続く飲酒問題に監督官庁の国土交通省は、飲酒の取り締まりを強化するというが、航空業界は箍(たが)が大きく外れている。

こうしたトラブルや事件が続くと、大きな事故が発生しかねない。ちょっとした気の緩みが事故を誘発するからだ。航空会社(エアライン)の社員をはじめとする航空関係者は、気を引き締めて空の安全を守ってほしい。

33年前の520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故のような悲惨な航空事故など、もう取材したくない。

※初出時、日本航空123便墜落事故の死者数が間違っていました。正しくは520人です。訂正します。(11月12日11時15分追記)

「日本なら自動車の運転免許取り消しになるレベル」

11月6日付の読売新聞の社説は「乗客の命預かる自覚に欠ける」との見出しを立てて日航副操縦士の飲酒を取り上げている。発覚後にどの新聞社が社説に書くだろうかと様子を見ていたら、社説のテーマに取り上げたのは読売新聞1社だけだった。

「乗客がパイロットに寄せる信頼を裏切った。重大な失態である」

読売社説はこう書き出し、副操縦士の飲酒の量を「検出された値は、日本なら自動車の運転免許取り消しになるレベルだ」と指摘する。

実に分かりやすい指摘だ。小難しいと思われがちな社説はこうでなくてはいけない。難しい話ほど簡単に丁寧に書く。新聞記事の原則である。