一日の始まりは、夜の「就寝」から

快眠セラピストの三橋美穂氏は、寝だめはむしろ体内時計を狂わせると警告する。

PIXTA=写真

「土日に寝すぎると時差ボケと同じ状態になり、生体リズムがおかしくなります。これを“社会的時差ボケ”と呼んでます」

三橋氏はそもそも睡眠負債は返済できないと思ったほうがいいと言う。まず大切なのは自身の最適な睡眠時間を知ること。三橋氏も1週間ごとに睡眠時間を30分ずつ増やす方法で実験したことがあるという。

「6時間から睡眠時間を30分ずつ増やして、自分で仕事のパフォーマンスを観察していくと、私の場合は7時間30分の週は日中に眠気を感じず、仕事の生産性が高まりました。それより長く寝るとパフォーマンスが低下することもわかりました」(三橋氏)

その際に、眠る環境を整えることも重要だと三橋氏は言う。

「寝室の温度、湿度、明るさ、音の状態を最適なものにし、もちろん寝具にもこだわりたいですね。できれば寝室は、眠るためだけの空間と決めてテレビなどは持ち込まない。特にスマホは画面のブルーライトが快眠の妨げになるので、就寝の数時間前には見ないようにしたほうがいいでしょう。一日の始まりは朝の目覚めた瞬間ではなく、明日のために眠るところからだと意識したいですね」

枝川義邦(えだがわ・よしくに)
脳神経科学者
早稲田大学研究戦略センター教授。東京大学大学院薬学系研究科博士過程を修了後、MBA取得。監修書に『ぐっすり眠れる睡眠の本』など。
 

三橋美穂(みはし・みほ)
快眠セラピスト
睡眠環境プランナー。寝具メーカーの研究開発部長を経て2003年に独立。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100』など。
 
(写真=PIXTA)
【関連記事】
ボーッと生きてると人生がうまくいく理由
漫画家さかもと未明"悲鳴をあげた心と体"
同業者が教える"おすすめできない精神科"
ヤバい病院は「待合室」を見ればモロバレ
看護師の妻と暮らす夫は最強の「勝ち組」