公明党が今後、憲法問題で軟化するかどうかは、まだ分からない。ただし安倍政権下での公明党は、「1強」の補完勢力と化しており「踏まれても踏まれてもついていく下駄の雪」と揶揄されることを考えると、安倍氏の思惑通りに進む可能性はある。

その場合は、年内の臨時国会は改憲に向けての環境整備に費やされ、来年の通常国会で衆参3分の2以上の改憲勢力による多数の賛成で発議される展開が想定される。

消費税増税の時期と、憲法改正の国民投票が重なる

このシナリオには弱点がひとつある。来年の通常国会の後半もしくは終盤に改憲発議されたとする。その場合、国民投票は同年秋から暮れに行われることが想定される。つまり消費税増税の時期、19年10月と重なる。

本来、憲法改正の国民投票と消費税は無縁のものだ。しかし、国民が投じる1票は当然、その時の政権に対する評価も判断基準となる。内閣支持率が高ければ国民投票が可決する可能性は高まるし、低くなれば否決の危険が出る。増税前後に国民投票をするというのは、改憲を実施しようとする側からすると最悪のタイミングだ。

これについては、さらなる「裏シナリオ」が語られている。国民投票を前にして安倍氏があらためて会見し「内外の経済情勢をかんがみて、景気の減速を避けるため消費税増税は見送る」と宣言するという説だ。

やっぱり「2度あることは3度ある」

増税をやめれば、内閣支持率は上向くだろう。いったん「間違いなく上げる」と宣言した後なのでサプライズ効果も期待できる。その勢いにのれば改憲が実現する可能性は一気に高くなる。つまり「3度目の正直」と見せ掛けて「2度あることは3度ある」の決断をするということだ。

その場合、公明党は、安倍氏に裏切られることになってしまう。それでも、増税見送りに反対して与党から去ることはないだろう。安倍氏が公明党を「下駄の雪」と見切っているとすれば、この「裏シナリオ」も決して奇策とはいえない。

(写真=時事通信フォト)
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