業界が注目する「地域通訳案内士」
ただ自由化されたとはいえ、旅行会社や観光施設は外国語ガイドを無条件に雇うわけにはいかない。トラブルが起きたときに、責任を問われるリスクがあるからだ。
旅行業界が期待しているのは、改正法で新設された地域別の「地域通訳案内士」だ。従来の通訳案内士(全国通訳案内士に改称)より合格のハードルは低いが、資格で一定の質が担保されているため、旅行会社としては雇いやすい。
「無資格者も近いうちに団体ができるでしょう。団体に登録した外国語ガイドなら雇いやすいはずです」
旅行会社が期待する戦力がもう1つある。添乗員だ。
「従来は、英語を話せる添乗員でも無資格では外国語でガイドできなかったために、わざわざ日本語のガイドを1人雇い、それを通訳する形でガイドをしていました。改正後は1人でできる。旅行会社としてはコスト削減になります」
コストが下がれば、外国人観光客の利益にもなる。また、いままで資格の壁に跳ね返されていた人も、定年後の仕事や副業として就業チャンスが広がる。この規制緩和でインバウンドがさらに盛り上がることを期待したい。
(答えていただいた人=弁護士 三浦雅生 図版作成=大橋昭一 写真=iStock.com)