麻原元死刑囚の遺骨巡り「四女vs妻・三女」
麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚の遺骨をめぐって争いが起きている。松本元死刑囚は執行前、遺体引き取り先として四女を指名。しかし妻と三女らは遺体引き渡しを求めて上川陽子法相と東京拘置所長に要求書を提出した。
元教祖で崇拝の対象になりうる松本元死刑囚の遺骨の扱いについては慎重な判断が必要だ。ただ、「先妻の子と後妻」「正妻と内縁の妻」など、遺体・遺骨をめぐって争うケースは珍しくない。遺族がもめた場合、遺体・遺骨は誰に引き取られるのが正しいのか。
そもそも生きている人間の身体に対する所有権はない。奴隷制を否定してきた近代社会で、人身売買につながる所有権の設定は到底認められないからだ。しかし、遺体になればモノとなり、所有権の問題が浮上する。
「遺体は相続人のもので、相続の法理により処理されます」
そう解説するのは、小松初男弁護士だ。
「故人が病院への献体を希望していた場合でも、相続人の遺族が反対すれば、故人の遺志があっても献体されません。それは遺体が相続人のものと考えられるからです」
解剖も同じだ。病気の原因を調べる病理解剖は、遺族の了承なしには行われない。
「遺体の処理は緊急を要するため、相続人全員から献体や解剖の同意を取ることが困難な場合は、主な相続人の同意で行います。が、意見が割れていれば、無理して献体や解剖はしないのが普通です」