岸見の答え:噂が立つのは有能な証拠、「嫌われる勇気」を持とう

競争社会である限り、避けられない現象

悪い噂が流れるのは、自分が有能である証拠です。劣等感に苛まれた誰かがあなたの能力に嫉妬して、根も葉もない噂を流している可能性が高いことを知りましょう。

仕事で有能な人を貶めようと考える人は、組織に必ずいる。(PIXTA=写真)

日頃から劣等感のある人が、優秀な人に対して取りがちな行動があります。それは相手を貶めること。どんなに頑張ってみたところで到底太刀打ちできないと感じた場合、ダメな人は自分を高める努力を投げ出してしまう。その代わり、他者を貶めることで相対的に自分の価値を高め、優越感を持とうとするわけです。アドラー心理学ではこれを「価値低減傾向」と呼びます。悪い噂というのは、おそらくそのひとつの現象にすぎません。仕事の実力で勝負しても敵わないことがわかっているため、仕事とは直接関係ないような些末なことを取り沙汰して吹聴するのです。

熾烈な競争社会にあって、有能な人がいれば、必ずその人を蹴落とそうとする人が出てきます。ですから、つまらない噂を流して喜ぶ人を特定してやめさせようとしてもムダでしょう。職場全体の対人関係が競争関係に基づいている限り、ある噂を流した人が改心したとしても、また別の誰かが新たな噂を流すものです。

そもそも噂とは、その出所がはっきりしないことも多い。どこからともなく生まれた噂を面白がって無責任に伝播させる「ギャラリー」がいるからこそ、噂になるわけです。つまり主体がないからこそ、「風の噂」も生まれる。原因を追求しようとしても徒労に終わることが多いのです。こういう場合の一番簡単な対処法は、つまらない噂には注目しないこと。何とかしようと思わず、一切関わらないという毅然とした態度が正解。

仕事で有能な人が、その証しとして嫌われることもあるのは、ある意味で避けられません。悪い噂を立てられたときも、そんなふうに思えば気が楽になるでしょう。「それだと職場で嫌われてしまうのでは?」と心配になる方に、2つのアドバイスがあります。まずは、ぜひ「嫌われる勇気」を持ってほしい。なにも「嫌われなさい」といいたいわけではなく、「嫌われることを恐れるな」とお伝えしたいのです。もうひとつは、必ず味方がいることを思い返してほしい。悪意を持っている人がいるとしても、それ以上に信頼してくれる人がいるはず。上司でも同僚でも部下でも、自分の味方になってくれる人を思い起こしてみましょう。

噂にばかり気を取られると、心配性な人は「みんなが自分を悪く思っている」と悲観しそうになるかもしれません。でも、「みんな」ということは、まずありえない。赤の他人とはいえ、日頃一緒に仕事をしている者同士、妙な噂が流れたからといって、手の平を返したように態度を変える人ばかりではありません。ただ、よく思っている人や評価している人は、あまりそれを言葉に出さない。人は悪口をいうときのほうが声高になるものです。

「周囲は敵ばかりではない、味方は必ずいる」
佐々木常夫
佐々木マネージメント・リサーチ代表
1944年生まれ。69年、東京大学経済学部卒業後、東レに入社。2001年に同期トップで取締役に。03年、東レ経営研究所社長に就任。10年より現職。
 

岸見一郎
哲学者
1956年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。京都聖カタリナ高校看護専攻科非常勤講師。共著書『嫌われる勇気』は155万部のベストセラーに。
 
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(構成=小島和子 撮影=大沢尚芳、森本真哉 写真=PIXTA、iStock.com)