お金を手に入れる6つの方法を自分事として考える

『おカネの教室』は、「お金を手に入れる6つの方法」を通じて経済の理解を深める構成になっています。生徒2人と読者は、「かせぐ」「もらう」「ぬすむ」「かりる」「ふやす」という5つの方法をたどるうち、最後に6つ目の、お金の本質を握る意外な方法にたどり着きます。専門用語を避け、使い慣れた言葉に落とし込めば、経済はそんなに難しいことではない。金額も大事な要素で、10円玉や1万円札が講義のメインアイテムにしています。億円、兆円といった単位の話は、経済を自分事として考えるのが難しくなってしまう。

市場経済の基本以外にも、福祉国家のありさまや「神の見えざる手」のメカニズム、格差問題やタックスヘイブンまでカバーしています。洗脳解除のためには、お金を軸とした「ルールブック」の全体像を示す必要があるからです。

こうしたファクターは、ストーリーの流れ、2人の生徒の成長の過程で必然的な要素として語られます。不自然に要素を詰め込む「小説もどき」では、物語としての力が落ちて「ズシン」とくる読書にならないからです。ミステリーのような要素もあり、「小説としても面白い」という感想をたくさんいただいています。経済解説と物語、「一粒で二度おいしい」が作者の願いです。

2022年には成人年齢が18歳に引き下げられます。高校を卒業したら、もう「大人」という時代がすぐに来ます。遅くともそれまでには、金銭忌避の洗脳を解く教育が必要ではないでしょうか。若者には、「たかがお金、されどお金」と自信をもって言えるようになってから、大人の世界に参加してほしいのです。

もちろん、何かを学ぶのに遅すぎることはありません。お金や経済に苦手意識がある大人の方もぜひ、「そろばん勘定クラブ」のメンバーになる読書体験を味わってらえれば幸いです。

高井浩章(たかい・ひろあき)
新聞記者
1972年、愛知県生まれ。経済記者・デスクとして20年超の経験をもつ。専門分野は、株式、債券などのマーケットや資産運用ビジネス、国際ニュースなど。三姉妹の父親で、初めての単著となる本書は、娘に向けて7年にわたり家庭内で連載していた小説を改稿したもの。趣味はレゴブロックとスリークッション(ビリヤードの一種)。
(写真=iStock.com)
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