さて、保険適用ではなく、先進医療にも定められていない、「自由診療」はどうすればよいか。たとえば、未承認の抗がん剤を使う場合、ロボット手術(前立腺がん、腎がんは保険適用)など、医師の判断で「自由」にできる治療は存在する。

新しい治療法として話題の「免疫チェックポイント阻害剤」は、高額な薬価でも注目を集めている。例えばオプジーボは、100ミリグラム73万円。体重60キログラムの人が使用する場合、1回133万円、1年間で約3500万円もかかる。しかし、承認されている阻害剤は、保険適用なので自己負担額は少ない。現在日本では「オプジーボ」(小野薬品工業)、「ヤーボイ」(米ブリストル・マイヤーズ・スクイブ)、「キートルーダ」(米メルク)が、メラノーマや肺がんなど、それぞれ特定のがんに対してのみ承認されている。これら以外は、基本的に保険適用外となる。

先進医療だけでなく、こうした自由診療もカバーしてくれる保険は、現在2つ。セコム損害保険「自由診療保険メディコム」と、SBI損害保険「がん保険自由診療タイプ」だ。「医者が必要と認めた治療である」など、一定の条件をクリアすれば、実際にかかった治療費を保障してくれる。ただし、どちらも5年で保険料が更新になる「定期型」なので、注意したい。入ったときから保険料が変わらない「終身型」と違い、5年ごとに保険料が更新。そのときの年齢で再計算されるため、年金暮らしに入っても保険料を支払い続けられるかどうかを試算する必要がある。

今回は最先端医療を受けるなら、という視点でがん保険の選択肢を見たが、そのほかの保障内容もしっかり検討して選びたい。

先進医療には特約を。自由診療までカバーする保険も
畠中雅子(はたなか・まさこ)
ファイナンシャルプランナー
2000年、駒澤大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。各メディアに連載多数。著書に『サヨナラ お金の不安』(主婦の友社)ほか。
 
(文=池田純子 撮影=石橋素幸 写真=iStock.com)
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