医療費の負担を抑えるには、なにがポイントになるのか。「プレジデント」(2017年2月13日号)では11のテーマに応じて、専門家にアドバイスをもとめた。第3回は「がん保険」について――。(第3回、全11回)
最先端のがん治療を受けようとすると、保険適用外の場合もある。お金がないからあきらめる、なんていう事態に陥らないよう、いまから備えておきたい。
公的医療保険が利かない最先端の治療としてまず挙げられるのが、先進医療。厚生労働省などが定める「高度な医療技術を用いた治療」で、現在(平成28年12月)106種類。国が認めているとはいえ、治療費は全額自己負担となっている。なかでも高額なのが陽子線や重粒子線。陽子線は280万円ほど、重粒子線は320万円ほどかかる。
毎月100円程度で、技術料を全額保障
こうした先進医療をカバーしてくれるのが、がん保険の「先進医療特約」だ。保険料はどれも毎月100円ほどで大差なく、基本的に、治療にかかった技術料は全額保障してくれる(先進医療の場合、診察や入院など通常の治療と共通する部分は保険適用)。
最近は、患者が治療費を一時的に立て替えることなく、保険会社から直接医療機関に支払う「直接払い」が定着。
ただし、先進医療は医療技術ごとに医療機関が決められ、特に重粒子線など大規模な施設が必要な治療は遠隔地まで行く必要も。なかには三井住友海上あいおい生命「&LIFE 新ガン保険α」のように、現地までの交通費や宿泊費(1日1万円まで)も保障する特約も出ている。
先進医療特約は、中途付加できない場合が多い。現在の保険を解約して入り直すと保険料が高くなるので、すでにがん保険に加入中の人は、先進医療と臓器移植に特化した損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の医療保険「リンククロスコインズ」なども選択肢になるだろう。