医療費の負担を抑えるには、なにがポイントになるのか。「プレジデント」(2017年2月13日号)では11のテーマに応じて、専門家にアドバイスをもとめた。第4回は「医療費」について――。(第4回、全11回)

医療機関の規模によって料金が変わる

「通院」する場合に大きな病院ほど医療費はかかると思われがちですが、大病院のほうが小さな病院より安くなるケースがあります。

生活習慣病の糖尿病や高血圧症、高脂血症などで通院すると、1カ月目以降、治療の際に病気の種類によって1カ月に1回、もしくは2回まで「特定疾患療養管理料」という特別料金が加算されます。

特定疾患療養管理料は外来患者が対象で月2回まで算定される。 ※保険点数は1点10円

この特定疾患療養管理料は医療機関の規模によって細かく金額が分けられていて、その金額は、実は小規模な病院ほど加算される額が多くなっているのです。具体的にはベッド数が19床以下の「診療所」が最も高く、自己負担分は1回につき680円、100床未満の病院は440円、100~200床未満の病院は260円、200床以上の「大病院」には加算されません(3割負担)。そのため、長期にわたって同じ薬を投薬してもらうために通院する場合は、ベッド数が多い大病院に通院するほど医療費が安くなるのです。

それではなぜ、大病院の費用のほうが小規模な医療機関より安くなるのでしょうか。

現在の厚生労働省の方針では、急を要する患者や高度な先進医療が必要な患者は大病院が受け入れ、それ以外の患者は中規模の病院や診療所で診療するという役割分担を進めています。そのために長期の通院が必要な慢性疾患の患者を地域の中規模病院や診療所が積極的に引き受けやすくなるように特定疾患療養管理料が設けられているのです。

気をつけたいのはベッド数200床以上の大病院にかかるときに紹介状のない場合は、初診時に選定療養費がかかることです。この特別料金は各医療機関によって独自に決められており、健康保険も適用されず全額自己負担になります。さらに2016年からは500床以上の大病院では初診時に5000円以上、再診時に2500円以上がかかるようになりました。しかし、医師からの紹介状があれば選定療養費は無料になり、紹介状は保険が適用され750円で書いてもらうことができます。